NTTドコモが3月1日に提供を開始した光回線サービス「ドコモ光」。コンシューマーだけでなく、法人ユーザー向けにもキャンペーンを展開し、販売攻勢に出ている。法人事業部の松木彰・法人ビジネス戦略部長(写真)に初動の手応えや今後の販売戦略などを聞いた。

(聞き手は榊原 康=日経コミュニケーション


写真●NTTドコモ 法人事業部法人ビジネス戦略部長 松木彰氏。
写真●NTTドコモ 法人事業部法人ビジネス戦略部長 松木彰氏。
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法人市場におけるドコモ光の初動はどうか。

 総じて好調だ。法人はある程度の規模になると、光回線が既に入っている。プロバイダーを切り替える(転用)だけで毎月のパケット通信料を安くできる。シンプルな提案なので、割とスムーズに切り替えが進んでいる。ドコモ光はオフィスリンク(携帯電話を活用した内線電話ソリューション)のアクセス回線として利用することも可能だ。

新料金プラン(カケホーダイ&パケあえる)の加入状況は。

 100回線以上の大口顧客とは相対契約を結ぶことが多いが、それ以下は基本的に通常料金。この規模にマッチするのが、まさに新料金プランになる。通常の業務であれば、パケット通信量は1人当たり1Gバイトでもそこそこ足りる。顧客にとっても、パッケージ料金で予算化しやすくなった。

 ただ、コンシューマーに比べると導入比率は低い。フィーチャーフォンで十分という企業はまだまだ多い。フィーチャーフォンでも「カケホーダイ」のメリットはあるが、通話が多いとは限らない。ドコモ光との組み合わせは追い風だが、顧客によっては光回線の担当部署が異なるので変更できないというケースもある。

法人向けに「光スマホ割 for ビジネス」という意欲的なキャンペーンを用意した。

 フィーチャーフォンとタブレット端末の組み合わせが好調だ。コンシューマーはやはりスマートフォンが中心だが、企業の場合は小さな画面に懸念を示す向きもある。特に営業現場では画面が大きく、顧客に提示しやすいタブレット端末が好まれる。

 タブレット端末は、旧機種でほぼ0円。新機種でも、さらに割り引きを適用することで0円で導入できる場合がある。従来であれば通信料金は回線当たり月5000~6000円かかっていたが、いろいろな割り引きを組み合わせると半額程度で済む。新料金プランでパケット通信料をまとめるだけでなく、光との同時契約、さらに新規契約や他社からの転入で光スマホ割 for ビジネスも適用できる。それなら試しに導入してみようとなるケースが多い。

 少し変わった事例としては、シェアハウスの運営会社がある。シェアハウスに光回線を引き込み、住人向けのサービスとして共有部分にタブレット端末を置く。これが予想以上に評判が高い。

法人市場は今後、どの程度の伸びを期待できそうか。

 携帯電話の導入という観点では、メディカルという特殊な領域は残っているが、市場はもうほとんどないだろう。ただ、スマートデバイスの利用という観点では、まだ伸びを見込める。当社の調査によると、スマートデバイスの導入率はまだ半分を超えていないとの認識である。M2M(Machine to Machine)やIoT(Internet of Things)も市場の拡大を期待できる。