金融業や小売り業向けにソフトウエアやクラウドサービスを提供する米NCR。2017年2月9日に発表した2016年1~12月期の通期の売上高は、前年同期比3%増の65億4000万ドル(1ドル=113円換算で、7390億円)、営業利益は前年同期比343%増の5億9900万ドル(676億8700万円)を計上した。今後の強化策について、NCRでグローバル セールス担当のミハエル・バイヤー エグゼクティブ・バイスプレジデント(EVP)に聞いた。

(聞き手は佐藤雅哉=日経コンピュータ

米NCR グローバルセールス担当のミハエル・バイヤー EVP
米NCR グローバルセールス担当のミハエル・バイヤー EVP
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米NCRの売り上げ構成について教えてほしい。

 NCRがグローバルにおいて提供しているサービスでは、金融分野が45%と最も多く、次いで、リテール(流通)分野が30%、レストランやファストフードといったホスピタリティ分野が15%、その他が10%だ。

 最も成長率の高いのがリテール分野で、それにホスピタリティが次ぐ。金融分野は、ソフトウエアやサービスが伸びているものの、ハードウエアの伸びが鈍化している。

成長しているリテール分野の強化策は何か。

 リテールの具体的な取り組みとしては、実店舗とオンラインストアの連携に向けたサービスを強化している。米国では現在、ストアトランスフォーメーションの動きが活発だ。日本の顧客企業からも当社のキャッシュレスサービス製品の引き合いが強い。

 当社のストアトランスフォーメーション向けサービスについては、「Retail One」というミドルウエアを2015年6月から提供していた。Retail Oneはさまざまなサービスやアプリケーション、ソフトウエアなどを結びつなげるミドルウエアで、“コマース・ハブ”としての機能を備える。既存のPOS(販売時点情報管理)システムに、他社ベンダーの開発したアプリケーションなどをつなぐことで、オムニチャネル(実店舗とインターネット通販との連携)を実現するのに使える。

 Retail Oneを使えば、顧客サービスアプリや販促アプリ、電子レシート発行のためのアプリなど、新しいサービスを展開できる。現在日本向けにカスタマイズしているところだ。