三菱東京UFJ銀行は、話題の「Fintech」(金融とITの融合サービス)をテーマとしたコンテスト「Fintech Challenge 2015」を開催する。ITを活用した新しい金融サービスの創造を目指し、6月まで広くアイデアを募集する。同コンテストを推進する2人に、開催の背景やFintechの動向などを聞いた。

(聞き手は菊池 隆裕=日経BPイノベーションICT研究所

なぜ、コンテストを開催されるのでしょうか。

左から、三菱東京UFJ銀行の柴田誠氏と藤井達人氏
左から、三菱東京UFJ銀行の柴田誠氏と藤井達人氏
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藤井 外部環境の変化があるからです。金融業界では、他業種のプレイヤーがリテール決済に参入しています。こうした動きに潜在的な脅威や危機感が金融業界全体に高まっているのです。

 銀行は垂直統合型の事業モデルなのですが、特に欧米でその一部を分断していこうとするプレイヤーが出てきています。マネジメント層もFintechという言葉を目にすることがだいぶ増えてきました。

 他業種からの参入もありますが、ユーザーとの接点をいかに保つかについても課題になっています。モバイルの普及でユーザーの利用シーンはデジタルに移行していますが、銀行自身がその分野でフロントランナーではない自覚もあります。

 こうした動きは海外が早く、コンテストや100億円レベルのファンド、アクセラレータといった活動が目立っています。これらが開催の背景にありました。

柴田 このような動きが顕在化してきたことで、経営トップの考えも変わってきました。頭取が海外のトップと会う際に「ITをどう取り込んでいくか」という話題が頻繁に交わされるようになってきました。

Fintechについては、急に注目を浴びるようになった印象があります。

藤井 当行では、2年前から情報発信し始めました。本格的に取り組もうということになったのは、1年くらい前です。

 ここ数年で、自分たちだけでサービスを提供するという今までの発想ではユーザーを引きつけられない、ということが認識されてきました。外部のベンチャー企業とうまく連携することで、顧客中心のサービスを提供しようという考えが広がっています。