データセンター事業のビットアイル・エクイニクスは2016年2月23日、報道関係者向けに事業戦略説明会を開いた(関連記事:ビットアイル・エクイニクスが事業戦略説明会、買収後はデータセンター規模が倍に)。同説明会は米エクイニクスによるビットアイルの買収完了後、初となる。ビットアイル・エクイニクスの代表取締役を務める古田敬氏に、買収の狙いや今後の事業戦略について聞いた。

(聞き手は井原 敏宏=日経コンピュータ


写真●ビットアイル・エクイニクス代表取締役の古田敬氏
写真●ビットアイル・エクイニクス代表取締役の古田敬氏
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ビットアイル買収の狙いやユーザー企業にもたらすメリットについて教えてほしい。

 一つは規模の拡大だ。ビットアイルの買収完了により、日本で保有するデータセンター数は約2倍になった。現在、東京に9カ所(2016年3月にさらに1カ所追加予定)、大阪に2カ所データセンターを保有しており、ラック数は約1万2000ラックになる。これらのデータセンターは相互に接続しており、どちらのデータセンターからも我々の強みである様々なパブリッククラウドサービスとの相互接続環境を利用できる。

 もう一つがグローバルのデータセンターと、ビットアイルが持つきめ細かなITサービスの融合だ。エクイニクスは世界に140以上のデータセンター群を保有している。我々の顧客が世界各国に拠点を展開する際は、一つの窓口でデータセンター利用の契約が済むため迅速に事業を開始できる。

 エクイニクスはこれまでデータセンターの拡張に力を入れてきたが、世界共通で標準的な運用を実現するには、各国の事情や法律などに対応する必要がある。そこでビットアイルの知見が生きる。サーバーの構築やSI、ITサポートなどのITサービスを提供してきたビットアイルの買収により、グローバル展開を望む顧客のニーズにより細かく応えられる。

買収による相乗効果は既に出ているのか?

 日本では営業部員の連携が進んでいる。お互いが持つ顧客を紹介するクロスセル案件では、既に10件ほどの案件が成立している。エンジニア同士の結びつきも強まっている。買収完了により現在、エンジニアの総数は約150人になった。

 ビットアイル側とエクイニクス側のデータセンターで別々だったエンジニアの交流も進めている。例えばビットアイル側のデータセンターに海外から外国人顧客がやってきた場合にエクイニクス側のエンジニアが対応したり、エクイニクス側のデータセンターでITサービスに関する質問が出た場合にビットアイル側のエンジニアが対応したりするなど、細かいながらいくつかの相乗効果が出ている。

国内事業における目標や事業戦略は?

 アジア太平洋地域の売上高は近年約20%増の勢いで成長している。買収要因などを除けば日本はこれを上回る伸び率だ。ビットアイルの買収後も20%の伸びは維持したい。

 結局は市場において顧客が必要とするサービスを提供することが成長につながる。日本のユーザー企業はIT部門のリソースやスキル不足という課題を抱えており、ビットアイルが持つITサービスへのニーズは高い。最終的に20%の売上高の伸びを実現できれば、それが顧客の求めるサービスを提供できている証明になる。