インドのタタ コンサルタンシー サービシズ(TCS)の日本法人タタ コンサルタンシー サービシズ ジャパン(TCSJ)、三菱商事グループのアイ・ティ・フロンティア、三菱商事とTCSJの共同出資会社である日本TCSソリューションセンターの3社が統合し、2014年7月に発足した日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(日本TCS)。直近まで英国市場の指揮を執り、同国の売上高を飛躍的に伸ばした実績を携えて日本TCS社長に就いたアムル・ラクシュミナラヤナン氏に、今後の戦略を聞いた。
2014年7月に新会社を発足した。どのような取り組みをしてきたのか。
取り組みを理解してもらうために、まずは当社がどのような企業になろうとしているのか、その展望に触れたい。
当社が目指すのは、顧客中心型の組織だ。常に顧客に身近な存在でいることで状況を理解し、関心のある分野に対して的確にサービスやソリューションを提供していく。
当社の前身として、旧アイ・ティ・フロンティアや旧TCSJがあった。それらが融合することで、より強い存在感を示すことができている。現在、パートナー社員を含め、4000人が日本で働いている。
今まで我々が提供してきたサービス、ソリューションは限定的なものだった。しかし現在は、(親会社である)インドのタタ コンサルタンシー サービシズ(TCS)の下、より幅広い分野で、個別の業界特有の要望にも応えられるソリューションを提供できる体制になっている。
そうした中、当社は発足以来、主に三つのことに注力してきた。顧客との関係を強化すること、デリバリーチームの相互理解、人事や社内システムなどの統合だ。
デリバリーチームの相互理解とは何か。
TCSのグローバルデリバリーセンターがあるインドのプネに、日本向けの体制を構築している。
TCSグループには、最高水準のデリバリー体制を実現するための業務プロセスやツールが存在する。旧アイ・ティ・フロンティアにも同様のものがあった。両者を把握し、融合させていく必要がある。
さらに大事なことは、インドのグローバルチームと日本のチーム間での文化的な融合だ。日本チームは、グローバルチームのやり方を理解しなければならない。一方、グローバルチームも、日本の手法をきちんと学ぶ必要がある。
グローバルと日本のチームが正しい形で融合できなければ、日本の顧客が満足する高品質なサービスを届けることは難しい。プネにある日本向け部隊の規模を拡大させる計画はあるが、まずは品質の確保が最優先だ。それを達成して初めて、規模の拡大に動く。