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インタビュー&トーク

セキュリティ施策を不要にする、「秘密分散技術」を日本から世界に

ZenmuTech 田口善一 CEO(最高経営責任者)

佐藤 雅哉=日経コンピュータ 2017/02/13 日経コンピュータ

 データを細切れにして暗号化し、複数の記録媒体に分散することで安全性を高める「秘密分散技術」。同技術に基づく製品「ZENMU(ゼンム)」シリーズを開発・販売するZenmuTech(ゼンムテック)は、2017年2月に銀行系や大学系ベンチャーキャピタルなどから2億5000万円の出資を受け、注目を集める。同月には社名を「TCSI」から「ZenmuTech」に変更。「ZENMUで世界に打って出る」と意気込むZenmuTechの田口善一CEO(最高経営責任者)に、製品の特徴や経営方針などを聞いた。

(聞き手は佐藤 雅哉=日経コンピュータ


ZenmuTechの秘密分散技術について教えてほしい。

 秘密分散技術そのものは20年ほど前から存在している。データをブロック片に分けて暗号化し、それらを分散して保存するものだ。秘密分散技術でもいくつかの方式があり、これまでは「しきい値秘密分散法」がメジャーだった。7割程度のデータがそろえば情報を復元できるというもので、BCP(業務継続計画)強化用途で使われていた。

ZenmuTechの田口善一CEO(最高経営責任者)
[画像のクリックで拡大表示]

 これに対し、当社がZENMUで採用したのは「AONT(All or Nothing Transform)」と呼ばれる方式だ。2000年代中ごろに東京大学や産業技術総合研究所などの研究者らが開発したもので、100%データがそろわなければ情報を復元できない特徴がある。一つでもデータ片が欠ければデータを復元できないので、データ片の一部が盗まれても情報漏洩には当たらない。我々は「データの無意味化」と呼んでいる。

 ZENMUはデータをどんな割合で分割するかをコントロールできる。例えば、分散したデータの大半をPCに、小片をスマートフォンやUSBメモリーに保持しておくような使い方だ。さまざまな情報漏洩の対策製品があるが、ZENMUはPCのデータを盗まれても安全なため、全く新しいコンセプトの製品で、従来のセキュリティ対策を不要にする技術だ。

 我々はAONT型の秘密分散技術をZENMUブランドでノートPCやサーバー向けに製品化しているほか、OEM(相手先ブランドによる生産)でも提供している。例えば、パートナー企業の富士通は、将来的にZENMUをスマホの近距離無線通信と組み合わせて使う予定だ。データの一片を保存したスマホをPCに近づけると、データを復元できるようにする。スマホを持った利用者がPCから離れれば、データを使えなくなる。外出先でもノートPCをフルに使って仕事をでき、万が一紛失しても情報漏洩の心配がなくなるというわけだ。

「出る杭」を経て世界に

導入事例を教えてほしい。

 既に住宅メーカーのLIXILや大手鉄鋼メーカーなどが採用している。2015年8月から販売しているPC向けのサービスでは、5万ライセンスを販売済みだ。富士通をはじめとする日本の名だたる大手ITベンダーや通信事業者がパートナーになりつつあり、政府関係者や米シリコンバレーの投資家からも評価してもらえている。

 従来のセキュリティ製品と全く違うコンセプトのためか、「出る杭は打たれる」の通りに創業当時はなかなか各社に相手にされなかった。実績を積んだことで、もう“出る杭”のように打たれる心配はなくなった。

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