米PTCのジェームズ・へプルマン社長兼CEOは、米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授と共同で、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2016年1月号に「IoT時代の製造業」というタイトルの論文を発表した。同誌2015年4月号に掲載された「IoT時代の競争戦略」の続編に当たる。この続編で両氏は、IoT(モノのインターネット)は、製品開発や生産、マーケティング、メンテナンスなど、製造業のあらゆる部門に様々な変革をもたらすことを説いている。

 それを受けて、PTCジャパンはメディア向け論文勉強会を開いた。勉強会では、IoT分野に詳しいPTCジャパンのアッシャー・ガッバイSLMセグメントセールス/事業開発担当バイスプレジデントが最新論文の内容を解説した。それを踏まえて参加者と質疑応答を行った。その質疑応答のなかで、論文の内容を踏まえつつも、日本の製造業がIoTを取り込むポイントについて持論を展開した。

(聞き手は西村 崇=日経情報ストラテジー


写真●PTCジャパンのアッシャー・ガッバイSLMセグメントセールス/事業開発担当バイスプレジデント
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写真●PTCジャパンのアッシャー・ガッバイSLMセグメントセールス/事業開発担当バイスプレジデント

製造業が、製品のメンテナンス業務にIoTを適用すると、大きな成果が得られそうです。どういう点に注意したらメンテナンスサービス部門でIoTによる変革をうまく起こせると思いますか。

ガッバイ氏 当社では海外含め様々な製造業のIoT導入を支援しています。そこから見えてきたことは、単に自社製品にセンサーを組み込んだだけでは不十分だということです。第1ステップにすぎません。ではそこからデータを集めればよいかといえば、それもまだまだ。第2ステップです。

 IoT導入で成功している企業は、さらにもう1ステップ、踏み込んでいます。集めたデータを分析ツールにかけて、様々な知見を獲得。その知見を、日々の業務に直結させたり、意思決定につなげたりしています。この第3ステップに至らないと、成果は出ません。