IT・エンジニアリング分野に特化した人材サービス・アウトソーシングサービスを手掛けるパソナテックは2015年11月2日、ベトナムや中国など世界15地域・1万人のエンジニアによるグローバルソーシングサービス「セカイラボ」を運営するモンスター・ラボとの業務提携を発表した[報道資料]。日系企業を中心に、海外の優秀なエンジニアネットワークを生かした新しいグローバルソーシングを提供するという。パソナテックの吉永隆一代表取締役社長に提携の狙いについて聞いた。

(聞き手は井原 敏宏=日経コンピュータ


パソナテック代表取締役社長の吉永隆一氏
パソナテック代表取締役社長の吉永隆一氏
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モンスター・ラボとの業務提携に至った狙いは何か。

 IT業界は人材不足が深刻だ。当社にも平均で毎月2000件くらいの依頼があるが、人手不足で10%しか受けられていない。日本の中長期的な課題を考えると、女性や地方の活用もあるが日本人だけでは足りない。海外の優秀な人材とつながることが重要になる。

 ただ、海外の優秀なエンジニアチームなどに一企業がアクセスして仕事を任せるのは難しい。我々もベトナムなどで海外人材の育成を手掛けているが、実用レベルまで教育するにはかなりの時間とコストが掛かる。

 より速く広範囲に優秀な人材を集めるため、今回の業務提携に踏み切った。我々が抱える顧客と彼らが持つ海外人材を結びつけることで、彼らにとってもビジネスの拡大につながる。

顧客の反応はどうか。

 2015年11月の発表から約1カ月で、既に約50社から引き合いが来ている。2016年2月には直接現地の拠点を視察してもらうツアーも計画している。

 引き合いがあった顧客の業種や目的は様々だ。元々セカイラボで実績がありノウハウを持っているWeb系やEC系のシステム開発案件が多いが、チャレンジの意味も込めて新しい分野の開発案件についても積極的に取っていくつもりだ。

開発コストの目安を教えてほしい。

 単純に人材の単価だと日本の8分の1程度だが、品質を担保するために日本語ができて海外エンジニア人材との橋渡しができるブリッジSEを約100人抱えている。トータルコストで考えると日本で開発するのと比べて大体3分の1から半額で済む。

顧客からはクラウドなど新しい技術を使った開発案件が増えると思うが、ベトナムなどのエンジニアの技術力は日本と比べてどうか。

 日本に比べて技術力のレベルは高い。マイクロソフトのクラウドサービスである「Microsoft Azure」を使ったシステム開発案件で、我々にベトナムでのオフショア開発を依頼したマイクロソフトのパートナー企業の話では、「プロジェクトの管理や運営は日本が上だが、技術力のレベルでは世界の中で日本が下の上だとすると、ベトナムは中の下」とのことだ。

 この顧客は日本とベトナムでの開発比率について、「今後は日本が1だとするとベトナムは3になるよう、積極的に活用していきたい」と言っている。