インドのIT大手であるHCLテクノロジーズは、売上高の約2割をエンジニアリングサービスが占める(関連記事:「従業員第一、顧客第二主義」で躍進)。抱える顧客はソフトウエア企業、自動車、エレクトロニクス、医療機器メーカーと多岐にわたり、同サービスでは世界最大だという。同事業のトップであるG.H.ラオ氏に、事業戦略を聞いた。

(聞き手は岡部 一詩=日経コンピュータ


印HCLテクノロジーズ エンジニアリングR&Dサービス部門のG.H.ラオ プレジデント
印HCLテクノロジーズ エンジニアリングR&Dサービス部門のG.H.ラオ プレジデント
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 どのような事業を手掛けているのか。

 当社が提供するエンジニアリングR&Dサービス(ERS)は、大きく2種類の顧客に向けて提供している。

 一つは、製造業だ。自動車、飛行機、テレビやカメラなどのコンシューマー向けエレクトロニクス、コピー機やプリンターといったオフィス機器、医療機器などを手掛ける企業を対象にしている。

 こうした企業には、組み込みソフトの開発やメカニカルの設計、製品の試験などの支援サービスを提供する。

 もう一つは、IT企業。パッケージソフトの開発・改良やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)企業のサービスプラットフォームの構築を支援したりする。ただし、企業へのシステム導入などはERSには含んでいない。

 組み込みソフトとエンタープライズ向けソフトなどとの垣根はなくなってきている。開発に必要となる技術や手法はほとんど変わらない。

 IoT(モノのインターネット)が盛り上がりを見せているが、セキュリティやモバイル、ソーシャル、クラウドといった技術領域はエンタープライズ向けソフトだけでなく、組み込みソフトの分野でも取り入れることが求められている。

 アジャイル開発を例にとっても、エンタープライズ向けソフトと組み込みソフトの両方で適用できる。両者を一つの部門で担えることは、当社の強みの一つだろう。

 実績は。

 通信、コンシューマー向けエレクトロニクス、飛行機などの分野では、世界のトップ5に入る企業の半分が当社の顧客だ。エンタープライズ向けソフトウエアの領域でも同じである。

 エンジニアリングサービスは、伝統的にインド企業が強い。この分野では当社が世界最大だ。