テクノスジャパンがビッグデータ活用支援ビジネスの強化に向け、アクセルを踏んでいる。同社が強みを持つERP(統合基幹業務システム)パッケージの導入支援サービスと一体で提供し、提案の付加価値を高める戦略だ。テクノスジャパンの城谷直彦会長に戦略や今後の展望を聞いた。

(聞き手は山端 宏実=日経情報ストラテジー


テクノスジャパンの城谷直彦代表取締役会長 最高経営責任者
テクノスジャパンの城谷直彦代表取締役会長 最高経営責任者
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なぜ今、ビッグデータ活用支援ビジネスに力を入れるのか。

 我々はマーケティングを中心に、企業のビッグデータ活用を支援したい。その際、我々が今までやってきたERPパッケージに蓄積した実績データが欠かせない。ERPの実績データにネットやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)データなどを掛け合わせることで、今までにない予測が可能になる。

 決してERPの導入支援とビッグデータの活用支援という2つのビジネスが別々に存在しているわけではない。ERPの導入支援をやっていくうえで、当然結び付いてくるビジネスだと考えている。

ビッグデータ活用支援ビジネスを強化するため、どのような体制を整備しているのか。

 2013年10月に「テクノスデータサイエンス・マーケティング(TDSM)」という子会社を設立した。現時点で約40人のデータサイエンティストが所属している。半数ほどが博士号を持っており、大学で素粒子や宇宙物理を学んだ人たちが中心だ。今は顧客を訪問し、一緒にKPI(重要業績評価指標)を作ったり、KPIに合わせてデータ分析したりしている。

 既に3社の顧客を獲得した。2社が金融で、1社が広告関係だ。金融の2社は融資や回収といった分野でリスク管理に活用している。2014年度はビッグデータ関係で4億円の売り上げを見込んでおり、2015年度には10億円近くまで伸ばしたい。そのために2年後をメドに、データサイエンティストを今の倍以上の約100人まで増やす計画だ。

 我々はテクノスジャパンとTDSM、米国のTecnos Research of America、沖縄テクノスの4社を抱える。グループ一体で営業活動を展開するため、この10月に横串組織「次世代ビジネス戦略室」を置いた。

 会社が別々だと、それぞれで営業活動を展開し、「これは私たちの仕事じゃない」と独自に判断してビジネスチャンスを逃しかねない。次世代ビジネス戦略室が司令塔になり、こうしたチャンスロスを無くしたい。最終的には、ビッグデータの分析だけでなく、企業の戦略システムの構築まで支援していくつもりだ。