音声で操作する、米アマゾン・ドット・コムのスマートスピーカー「Amazon Echo」が2017年11月に日本で発売されると同時に、多くの企業が日本語版のEcho向けアプリ(Alexaスキル)をリリースした。その数は265個に上る。
それだけ素早く対応した企業が多かったということだが、そのなかでも特に早く取り組んだ1社が、みずほ銀行だ。
みずほ銀行は2016年8月に英語版Alexaスキルのプロトタイプを開発して、米国シリコンバレーでPoC(概念実証)を済ませていた。
みずほ銀行 個人マーケティング推進部デジタルチャネル開発チーム参事役の西本聡氏によると、Echoが登場する前から数年来、音声ユーザーインタフェースについて注目してきたという。「操作が楽という点で、ユーザーインタフェースとして最も優れている」と西本氏は評価する。
スマートフォンやPCが使えない高齢者にとどまらず、全世代の顧客にとって音声ユーザーインタフェースは有用と位置付け、Alexaスキルの開発に取り組んでいるという。
みずほ銀行が2017年11月に日本で投入したAlexaスキルは、ユーザーの口座残高と入出金履歴を読み上げるものだ。米国の他行が提供しているAlexaスキルを参考に、まずはニーズが高く実現しやすい機能に絞った。
みずほ銀行のAlexaスキルでは、「みずほダイレクトアプリ」というスマートフォン向けアプリのバックエンドシステムを流用している。そのためAlexaスキルを使うには、最初にみずほダイレクトアプリのユーザーになる必要がある。
具体的には、ユーザーはみずほダイレクトアプリの利用設定をしたうえで、みずほ銀行のAlexaスキルを有効化し、専用のPINコード(4ケタの暗証番号)を設定。Echoに「アレクサ、みずほ銀行を開いて」などと話し掛け、PINコードを言って残高照会や入出金履歴確認を行う。
Echoが発する言葉は3秒強まで
みずほ銀行では、もともと操作が楽という点で音声ユーザーインタフェースを評価していることもあり、Alexaスキルの操作性向上に注力した。ユニークなのは、Echoが発する言葉は原則として3秒強までとしたことだ。それ以上に長くEchoが話すとユーザーにとってストレスになる、という判断からだ。
ただし3秒強に限定したことで、入出金履歴の読み上げが問題になった。3秒強以内に読み上げられる入出金履歴をテストしたところ、1件だけだった。
そこでEchoで読み上げるのは直近の1件だけにして、直近4件の情報をアマゾン・ドット・コムが提供するスマートフォン(iOS、Android)向けアプリ「Amazon Alexa」で表示させることにした。