米アマゾン・ドット・コムのスマートスピーカー「Amazon Echo」。インターネットに接続し、「Amazon Alexa(アレクサ)」というクラウド上のAI(人工知能)サービスを逐一呼び出して動作する。

 Alexaは「Alexa Voice Service(AVS)」と「Alexa Skills Kit(ASK)」というフレームワークを備えており、サードパーティーの企業が独自にEcho用アプリケーション「Alexaスキル」を作りアマゾン・ドット・コムを通じて公開できる。

 アマゾンジャパンがAmazon Echoの国内発売を発表した2017年11月8日時点で、100社以上の企業が日本語対応のEchoアプリであるAlexaスキルを開発し、265個がリリースされた。米国では既に数万のAlexaスキルが登録されており、国内でも今後さらにAlexaスキルが増えると予想される。

 ただしAlexaスキルは音声で操作するため、従来のアプリケーションとはユーザーインタフェース設計の仕方が大きく異なる。一般的なPCやスマートフォンアプリにはない工夫や注意が求められる。

 Alexaスキルをいち早く開発した東急ハンズに、その狙いや難しさを聞いた。

店頭イベントやお勧め商品の情報を読み上げ

 「アレクサ、ハンズに新宿店のイベント情報を聞いて」

 「新宿店のイベントは全部で5件あります。最初の3件は…」。

 東急ハンズのAlexaスキル「東急ハンズ」はこんな具合に、ユーザーがEchoに話しかけると店舗で開催中の催事の情報を返答する。このほか、店舗のお勧め商品や同社の通販サイト「ハンズイッピンマーケット」の日替わりお勧め商品を紹介する機能も備える。Echoのユーザーはまだ少ないが、顧客との接点を増やし、将来的に来店や購買の促進につなげたい考えだ。

ハンズラボの三井田雄紀氏(左)と山本雄大氏(右)
ハンズラボの三井田雄紀氏(左)と山本雄大氏(右)
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 Alexaスキルの開発を担当した、東急ハンズのIT子会社ハンズラボの三井田雄紀イノベーショングループITエンジニアは、「開発方法に戸惑いは無かった」と話す。ハンズラボはもともと、東急ハンズの業務システムの開発・運用にパブリッククラウドサービスのAmazon Web Services(AWS)を利用している。Alexaスキルの開発環境はAWSのそれとほぼ同じで、AWSのクラウドサービスも利用できるためだ。ただし開発期間は約4カ月間掛かり、当初の想定を超過した。

 「音声で適切に応答させるのに苦労した」と三井田氏は振り返る。2017年6月から7月の約2カ月間でいったんAlexaスキルを完成させたが、アマゾンジャパンによるリリース前の審査に相当するレビューで不合格。使い勝手の改善が必要な点がいくつか見つかった。レビューを通るまでにさらに2カ月あまりを要したという。