米国ラスベガスで開催中のCES 2018では、AI(人工知能)を使ったスマートスピーカーで米アマゾン・ドット・コムと米グーグルが火花を散らす中、着々と中国がその市場を狙っている姿が鮮明となった。

 中心会場であるラスベガスコンベンションセンターに設けられたAI関連企業を集めたスペースでは、中国企業の台頭が目立つ。百度(バイドゥ)は、AIアシスタント「DuerOS」のプレゼンテーションのために大きな展示スペースを確保した。

百度は大きな展示スペースを確保し「DuerOS」を展示
百度は大きな展示スペースを確保し「DuerOS」を展示
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 音声認識エンジンを自ら開発し、スマートスピーカーなどを提供するRokidは、スマートスピーカーとAI音声認識を搭載したARグラスを展示。

スマートスピーカーとAI音声認識を搭載したARグラスを展示したRokid
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スマートスピーカーとAI音声認識を搭載したARグラスを展示したRokid
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スマートスピーカーとAI音声認識を搭載したARグラスを展示したRokid

 そのほかにも、自動運転を手がけるRoadstar.aiや、デスクトップに置くアーム型ロボットを提供するUFACTORY、AIアルゴリズムを搭載したプロセッサや自動車や顔認識に関わるソフトウエア開発をするHorizon Roboticsなどが自社開発のハードウエアやソフトウエアをデモした。

Roadstar.aiは、サンフランシスコで実際に自動運転をしたドライブ画像を流していた
Roadstar.aiは、サンフランシスコで実際に自動運転をしたドライブ画像を流していた
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UFACTORYは「お茶汲み」アームロボットを展示。お茶を入れる人が誰なのかを認識して、何を入れるかといったことを判断し、好みの飲料を注ぐ
UFACTORYは「お茶汲み」アームロボットを展示。お茶を入れる人が誰なのかを認識して、何を入れるかといったことを判断し、好みの飲料を注ぐ
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Horizon Roboticsは、実際に中国で導入が進んでいる通行人の顔認識技術を紹介。独自開発のプロセッサなども展示した
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Horizon Roboticsは、実際に中国で導入が進んでいる通行人の顔認識技術を紹介。独自開発のプロセッサなども展示した
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Horizon Roboticsは、実際に中国で導入が進んでいる通行人の顔認識技術を紹介。独自開発のプロセッサなども展示した

 AI分野で中国のプレイヤーが目立つ理由について、各社が異口同音に挙げたのが政府の支援だ。Roadstar.aiの戦略バイスプレジデントのHarry Na氏は、「法整備は必ずしも早くないが、政府が法的なグレーな部分に目をつぶってくれる。グレーゾーンに寛容なところが、ベンチャーとしてはやりやすい」と話す。UFACTORYも、様々な方面から支援を得ているといい、マーケティングリーダーのCHAO YAO氏は、「金銭をサポートしてくれることに加えて、技術面や働く場所などの幅広いサポートがある」という。

 人材の層も分厚い。例えば、Horizon Roboticsは、2015年設立で、既に400人以上の従業員を雇い、そのうち7割以上がエンジニアだという。国内外から広く人材を集め、グーグルや米フェイスブックからの転職組も少なくない。

 多くの企業が、3-4年以内に設立された企業で、当然アマゾンやグーグルの背中を追うどころか、まだ見えないほどかもしれない。一方、「今はまだかなわないが、中国という大きなマーケットで、データを収集し、人工知能のデータとしていち早く活用しているのは私たちだ」(RokidのUXデザイナーXiaoy Wang)と鼻息も荒い。米国勢がスマートスピーカーを中心に陣取り合戦をしている裏で、虎視眈々と主役の座を狙う中国の若い力を垣間見た気がした。