今回は、端末の台数が200~500台の中規模のネットワークの場合を見てみよう。

 この規模のネットワークだと、フロアスイッチの上位にコアスイッチを置くことが多い。こうしたネットワークでは、万一の機器のトラブルに備えるために「スイッチの冗長化」が重要である。

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 アクセススイッチであれば、故障しても通信できなくなるのはそのスイッチに接続している端末だけだ。これに対し、コアスイッチやフロアスイッチが故障すると、影響が広範囲に及ぶ。

 このため、こうしたスイッチはたとえ1台が故障してもネットワークの通信が途絶えることがないよう、複数のスイッチを使って冗長化を行う。ネットワンシステムズの箕輪高裕氏(ビジネス推進本部 商品企画部 ネットワークインテリジェンスチーム)は「現在の企業ネットワークでは、スイッチを冗長化しないユーザーはほとんどいない」という。

STPはほとんど使われない

 スイッチを冗長化する場合、複数のスイッチをLANケーブルで接続する。ただ、それだとループ構成になってしまうため、STP(Spanning Tree Protocol)などの対策機能を使ってループ接続によるブロードキャストストームを回避する。標準でSTPに対応しているスイッチは多いため、導入自体の障壁は低い。

LANケーブルを使った冗長化
LANケーブルを使った冗長化
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 ところがSTPは設定が複雑なため設定ミスによるトラブルが起こりやすい。また、STPを使うと通信できない経路が発生してしまうため、通信の効率も悪くなる。

 それに加え、機器の故障などでネットワークトポロジーが変化した場合、STPでは経路の再計算に1分程度かかってしまう。「IP電話やビデオ会議を導入している場合、ネットワークが1分も止まってしまうのは致命的」(アライドテレシスの盛永亮 マーケティング本部 グローバルプロダクトマーケティング部部長)。こうした理由から、実際には現在の企業ネットワークではSTPはほとんど使われなくなってきているという。