日本に住む全ての人に唯一無二の12桁の番号を付与したマイナンバー(個人番号)制度が、2017年11月に転機を迎えた。制度の目的である行政事務の効率化や国民の負担軽減につながる「情報連携」が本格運用に入ったからだ。ところが自治体関係者によると住民の手続きは従来通り。手間のかかる添付書類を提出する必要があるなど、現状の仕組みは形骸化している。マイナンバーカードの普及率は2年経っても約1割にとどまり、カードの知識も正確に伝わっていない。政府がシステム整備に約3000億円超とされる費用を投じたにもかかわらず、なぜ、こんな事態に陥っているのか。実態と処方箋を探った。