ソフト開発の分野では、発注者であるユーザーと、受注者であるベンダーの争いがテーマの記事がアクセスランキング上位を占めた。1位は、最近大きな話題となった京都市のシステム刷新プロジェクトの失敗を取り上げた「システム刷新に失敗した京都市、ITベンダーと契約解除で訴訟の可能性も」だ。このプロジェクトは結局、訴訟にまで発展した。この案件についてはそのほか、「関係が泥沼化、京都市が7億5000万円請求するもIT企業は支払い拒否」が8位に、「京都市とIT企業がシステム裁判に、基幹系刷新の完了は3年延期」が19位に入り、読者の注目を大いに集めた。
ソフト開発の失敗を巡って発注者と受注者の間で争うケースは、いまだ後を絶たない。パートナーとして共に開発を進めるはずの受発注者間で、なぜ訴訟にまで発展してしまうのか。過去の事例に多くの教訓がある。京都市の案件を受けてITproでは急遽、過去のシステム裁判事例を取り上げた特集「システム裁判回顧録」を掲載。「システム裁判の教訓、プロマネのあり方を問うたスルガ銀・IBM訴訟」(4位)、「あいまい契約が引き起こす争い、セコム損保と富士通のシステム裁判」(9位)、「ソフトウエアのバグは重過失か、みずほ証券・東証システム裁判の争点」(12位)と、軒並みランキング上位に並んでいる。
ソフト開発の現場におけるエンジニアの苦労をつづった記事も人気だった。ランキング2位の「『こんなもんいらん!どけろ!』、設置したPCを床に放り出された話」、6位「『廃棄しかないか』、せっかく作ったシステムを同志と作り直すと決めた」がそれだ。同じような経験をしたことのある読者にとっては、身につまされる内容だったのではないだろうか。
ネガティブな話題が目立つが、もちろん前向きで元気が出る記事もランクインしている。ソフト開発者個人に焦点を当てた記事だ。16位の「『スーツはエンジニアの敵』と指摘され一からプログラミングを学び始めた」、18位の「『小学生でもわかる本』がシニアには無理、82歳アプリ開発者が語る現実」、20位の「文系女子高生をどん底から救ったプログラミングの魅力」である。いずれも、ソフト開発の魅力や醍醐味をエンジニア目線で伝えてくれる記事だ。例えば20位の記事に登場する19歳の女性は、プログラミングを知って大学進学を取りやめ、エンジニアの道を選んだという。