「エンジニア向けの教育研修のタスクフォースを立ち上げることになった。君が中心になって進めてほしい」。JSOLの斎藤 大氏(AMOサービス本部 部長)はある日、上司からこう仕事の追加依頼を受けた。

 このときの斎藤氏は開発プロジェクトの仕事で手いっぱい。提案資料や見積書の作成、ユーザーヒアリングなど予定がびっしりと詰まっていた。いったんは引き受ける返事をしたものの、首が回らなくなると感じるようになった。「不安が心の中に広がってできるわけがないと強く思うようになり、仕事の最中なのに気持ちがくじけてしまった」(斎藤氏)。

 複数プロジェクトの掛け持ち、開発プロジェクト以外の仕事などで、ITエンジニアの仕事は増えてしまいがち。仕事量が自分の能力以上になると、大きなストレスを感じへこむことは多い。

 仕事が次々増えるのは、利用部門の担当者や上司といった仕事を任せる側の人に、相手がどれほどの仕事を抱えているのかが見えていないからだ。だからこそへこんだら白旗を上げて、仕事でパンパンになっていることをアピールしよう。これがこの場面での復活術だ。

「やるけれどできるのはここまで」

 ただし仕事が山積した事態に直面してからどうするかを考えていると、へこんだ状態からすぐに復活することはできない。白旗の上げ方を事前に押さえて、すぐできるようにしておこう。

 斎藤氏が勧める白旗の上げ方は「やりますができるのはここまでです」「やることになると別の仕事に影響が出そうです」と、やることを前提にできる条件を示すことだ。依頼者とも角が立たず話しやすい。

 冒頭のケースでは、斎藤氏は「新しい仕事を担当するとなると、ユーザー企業での定例会議は欠席せざるをえません。それでも大丈夫ですか」と上司に確認した。すると「今回は教育の仕事に専念してほしい。ヒアリングは担当のリーダーに任せてよい」と指示してもらえ、心理的な負担を減らせた。