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新春 編集長の眼

システム開発現場の「価値観」激変に備えよ

森重 和春=日経SYSTEMS 2018/01/04 日経SYSTEMS
日経SYSTEMS編集長 森重和春

 「ビル管理にもIoT」「買うか賃貸か、AI指南」「会計AIで無人店」――。これらは2017年終盤、ほんの数日間の新聞に踊った見出しだ。いずれも企業の新サービスや、新サービス提供に向けた実証実験を報じる記事である。2017年は人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)といったキーワードが毎日のように新聞紙上を賑わせた。ITの新技術を活用して顧客に新しい価値を提供する事例が多数生まれた1年だったといえる。「デジタルシフト」「デジタル化」といわれる動きだ。

 2018年も企業のデジタルシフトは加速する。そしてこうしたユーザー企業の動向はシステムを開発する現場にも当然影響する。つまり2018年はシステム開発の現場も変革を迫られる。開発するシステムにAIやIoTなどの新技術を取り入れるといった単純な意味ではもちろんない。

QCDを設定しないプロジェクト

 最たる変化の1つが、システム開発現場の「価値観」が変わることだ。ここでいう価値観の変化とは、システム開発において重視する項目の優先順位が変わるという意味だ。従来の開発現場では、プロジェクトマネジャー(PM)の優先事項は「QCD」、つまりQuality=品質、Cost=コスト、Delivery=納期だった。計画した納期通りに、予定通りのコストで、バグが少なく安定稼働できるシステムを構築するのが最優先だったのだ。

 PMにとって2018年もQCDが重要な点に変わりはない。ただそれ以上に「臨機応変にビジネスの目的を満たす」手腕が重要視されるようになっているのだ。

 筆者が担当する日経SYSTEMSは2017年11月号で「さらばQCDプロマネ」という特集記事を掲載した。QCDを重視するだけのPMから卒業しようという視点でまとめたものだ。同特集記事には「プロジェクトでQCDの目標はほとんど設定しない」というPMが登場した。

 このPMが担当するプロジェクトは「営業関連業務をデジタル化する」というユーザー企業の方向性に基づき、「具体的にどんなシステムを開発するかの可能性を模索し、営業部門の現場で試し、ビジネス価値を確認できたらシステムの開発を本格化する」という一連のプロセスを3カ月サイクルで回した。

 何を作るかが必ずしも決まっていないので、QCDの目標は立てにくい。だからQCDを目標としない。3カ月サイクルでプロジェクトを回して、成果物の極端な遅れや大幅なコスト増を防ぎやすくしているのだ。このPMにとってのKPI(重要業績指標)はエンドユーザーである営業担当者の「使いたい」と回答する人数だったという。

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