日経コンピュータ編集長の大和田 尚孝
日経コンピュータ編集長の大和田 尚孝
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 アルファベットの並び順から規則性を見抜いて次に来る文字を当てるクイズがある。例えば「SMTWTF」の次はというと、これは曜日を表す英単語の頭文字を日曜日から順に並べているので、F(Friday)の次はS(Saturday)という具合だ。そこで新春ITクイズ。「MOSUPC」に続く英文字はなんでしょう。ヒントはIT業界の動作プラットフォームの変遷である。

 最初の「M」はメインフレーム(Mainframe)を表す。米IBMが54年前の1964年に「システム/360」を発表。銀行の預金管理や航空会社の座席予約、自動車メーカーの生産管理など企業の基幹業務の在り方を根本から変えた。富士通や日立製作所、NECなどの国産メーカーも参入し、企業のシステム化の歴史をけん引した。

 大企業を中心に導入が進んだメインフレームに対し、中堅中小企業のシステム化の需要に応える形で普及したのが「M」の次に来る「O」。つまりオフィスコンピュータ(Office computer)、通称オフコンである。表計算などのアプリケーションが充実し、後に漢字も使えるようになり、企業の利用部門が給与計算などの事務作業に使いやすくなった。富士通の「FACOM Kシリーズ」、ミッドレンジコンピュータとも呼ばれるIBMの「AS/400」に加え、日立やNEC、東芝なども新製品を投入した。

 その次の「S」はスーパーコンピューター(Supercomputer)だ。1970年代後半から80年代にかけて、国産メーカーが科学技術計算に特化した機種を開発、大学や研究機関などに納入した。富士通や日立、NEC、IBM、米クレイなどが受注合戦を繰り広げた。

 1990年に入ると、ネットワークを介してサーバーとワークステーション(端末)が分散して処理を受け持つ形態が台頭。「U」つまりUNIXサーバーが広がり始めた。米ヒューレット・パッカード(HP、現HPE)や米サンマイクロシステムズ(現オラクル)などが製品を開発・提供し、国内勢も海外製品のOEMや共同開発などの形で参入。その後インターネットが普及すると高い性能が求められるデータベースサーバーなどでの導入が進んだ。

 「MOSU」に続く「P」はもうお分かりだろう。PCサーバーだ。米インテルの「Pentium」などのプロセッサを搭載し、米マイクロソフトのOS「Windows」が動作する機種が1990年代に売れ始めた。2000年代に入ると「Linux」を搭載した機種も増えた。PCサーバーは現在のサーバー市場の主流となっている。

 最後の「C」はクラウドコンピューティングである。2000年代に入るとサーバーを所有せずにネットワーク経由で利用する形態が登場。ユーザー企業はサーバーの性能設計と購入、場所の確保、設置、ソフトのインストールと初期設定、稼働後のハード保守、故障対応などが不要になった。2010年以降はクラウドの適用範囲が企業の基幹システムにまで浸透しつつある。