「俺は要員の話をしているんだ!コストの話なんてしていない」――。SIベンダーのユー・エス・イーでシステム提案などを手掛ける宮原祐司氏(営業戦略推進本部 副本部長)は、かつてユーザー企業のシステム部長をひどく怒らせた経験がある。

 きっかけは、あるプロジェクトで問題が発生したときだ。宮原氏はコスト面のリスクを考え、電話で追加費用について相談した。ところがシステム部長は、プロジェクトを立て直すための要員追加の状況を危惧。そして宮原氏のコスト面に終始した説明を聞くうちに、システム部長の怒りは冒頭のように爆発した。

怒らせる“地雷”は至るところに

 このように、何気ない言動が相手を怒らせてしまうケースは少なくない。宮原氏はその後、状況をつかめないままシステム部長のもとを訪れ、そこで初めて認識のズレを知った。今ではその部長と良好な関係を築けているが、「相手の視点に立っていない言動だったので怒らせた」と、当時を振り返る。

 実は相手を怒らせる“地雷”は至るところにある。ここでいう相手とは自分の周りにいる人すべてである。プロジェクト経験が豊富なプライスウォーターハウスクーパースの堺 勝久氏(ディレクター)は「言動には必ず結果が伴うことを理解すべきだ」と指摘。その上で「配慮を欠いた言動は、必ず痛いしっぺ返しを食う。言動の危機管理を実践することが何よりも大切だ」(堺氏)と注意を促す。

 では、相手を怒らせる地雷(パターン)とは何か。取材を重ねた結果、特にIT現場で相手を怒らせるパターンは大きく7つあることが分かった。これらは一部の人だけではなく、多くの人が気付かないうちについついやってしまうパターンである。

相手を怒らせる7つのパターン
相手を怒らせる7つのパターン
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 相手を怒らせる言動は、自分よりも周りの人のほうがよく見える場合もある。自分に当てはまるパターンがないかどうか、周りの人に確認するのもよいだろう。また、もし周りのメンバーに当てはまる人がいれば、そのパターンと解決策を伝えよう。

言い訳・否定塗りたくる「でもだって型」

 「でも」「だって」――。何かを人に言われると、とっさにこう答える人がいる。これはもっぱら子供がよく親に使う“言い訳”だが、大人になってもこれに近い、否定的な言葉が口ぐせになっている人は少なくないようだ。