「最近、不安やプレッシャーからくる腹痛を訴えるSEが増えている」。富士通で健康指導に当たる保健師の岡田睦美氏(健康推進本部 川崎健康推進センター マネージャー)はこう明かす。岡田氏によれば、症状の多くは「過敏性腸症候群(腸炎の一種)」である。悪化すると、1日に何度もトイレに行く状態が慢性的に続く。

 この過敏性腸症候群は、SEを悩ませている病気の代表だ。

 パッケージソフト開発やSI事業を展開するテンダの大久保 卓氏(管理本部 本部長)は、胃腸炎の対策として、残業減らしに努めている。残業が増えると食生活が不規則になり、胃腸炎になりやすいと考えたからだ。

 大久保氏らの現場では、長時間労働を解消するため、残業が月45時間を超過しそうなメンバーがいた場合、毎週月曜日の午前9時に本人とそのリーダーに通知メールを送信する仕組みを構築した。さらに、通知メールが届いたら、リーダーと本人で対策を講じることも義務付けた。このとき利用する問診票は、医師のアドバイスを受けて独自に作成したものだ。

胃腸炎の原因になる長時間労働
胃腸炎の原因になる長時間労働
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 これにより長時間労働が減り、「規則正しく食事を取るようになったようだ」と大久保氏。その甲斐あって、最近は胃腸炎にかかるメンバーはほとんど出ていないという。

肉・豆・アルコールは胃に負担

 「胃腸炎は食生活に起因することが多い」。栄養学博士で管理栄養士の小川万紀子氏(二葉栄養専門学校 教育部 栄養課程 管理栄養士学科 主任教授)はこう強調する。小川氏は、大久保氏らの現場のように規則正しい食事を心掛けるのに加えて、食べ物に気を付けることも重要だという。「特に胃痛は、胃の粘膜が壊れることで起こる。胃痛の症状が出た場合、胃に負担がかかる食べ物を避けることが大切だ」(小川氏)。