本特集ではここまで、CPUのマルチコア化の最新動向を紹介してきた。今回からは、マルチコアCPUのラインアップを見ていく。まずはインテルのCPU製品群だ。

 下の表は、2008年11月に発表された第1世代のNehalemから、2017年10月に国内でも発表された第8世代のCoffee Lakeまで、各世代のコアの数をまとめたものである。9年間で8世代というのは、最初の2年は色々とトラブルがあって中途半端な製品ラインアップになったためである。各世代の概要を見ていこう。

各世代のコアの数
各世代のコアの数
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第1世代(Gen 1):4コア2種類、低価格帯はまだ用意できず

 当初の製造プロセスは45nmで、PC向けは4コア製品2種類が用意された。Core i7 Extreme向けには、Xeon E3向けと同じダイのBroomfield、Core i5/i7向けにはメモリを2ch(Broomfieldは3ch)にしたといった違いがあるLynnfieldが用意された。ただこの世代は、GPUを統合するには微細化がまだ十分ではなく、どの製品もGPUは統合されていない。またダイサイズがかなり大きかった関係で、Core i3以下のバリュー向けは低価格で用意できないという理由で製品がラインアップされていない。これが解決されるのは、32nmの最初の製品であるClarkdaleが登場してからである。

 Clarkdaleは、32nmプロセスで製造された2コアのCPUのダイと、45nmプロセスで製造されたGPUのダイをMCMを使ってつなぐという苦しい構成ではあったが、コストは確実に下がり、Core i3~Pentiumまでの製品が投入された。ただCPUは2コアだけということでCore i7には相応しくないと判断され、この時期はLynnfieldベースのCore i7が継続して投入されている。ただしCore i7 Extreme向けには、6コアのGulftownが投入された。

第2世代(Gen 2):CPUとGPUを単一のダイに

 CPUとGPUを一つのダイに収めることに成功した最初の製品が登場した。この世代から、本格的にCPUの基本設計の中にサーバー向けのRAS機能が入り始めている。デスクトップ向けは4コア構成で、これより後は以下の基本構成となる(しばしば例外も出ている)。
・Core i7:4コア/8スレッド、L3 8MB
・Core i5:4コア/4スレッド、L3 6MB
・Core i3:2コア/4スレッド、L3 3MB
・Pentium:2コア/2スレッド、L3 3MB
・Celeron:2コア/2スレッド、L3 2MB

 一方Core i7 Extremeに関しては、同じ32nmということもありコア数は6のままである。

第3世代(Gen 3):製造プロセスが22nmに

 この世代のIvyBridgeは、製造プロセスを22nmに微細化した最初の製品である。当然同じ構成ならダイサイズが小さくなり、コア数を増やすことも可能だが、デスクトップ向けに関してはCPUのコア数は据え置きにして(ただし動作周波数は向上)、その分をGPUのシェーダ―増強に振り分けるという判断をした。

 当時のPCの使われ方からすると、CPUコアの数を増やしてもほとんど性能に結びつかず、むしろGPUを強化したほうがトータルでの性能改善につながるというわけだ。ただしGPUを使わないXeon向けはコア数を増やしており、特にXeon E7向けは最大15コアまで増えている。なおSandy Bridge世代にはXeon E7がない。

第4世代(Gen 4):CPUの内部パイプラインを大幅強化

 この世代のCPUは、プロセスは22nmのままで、CPUの内部パイプラインを大幅に強化されている。Xeon E5/E7向けは18コアに達しており、Core i7 Extreme向けにも8コア製品が初めて投入された。

 また、RAS機能が一層盛り込まれるようになった。ちなみに次の14nm世代が登場するまで予想以上に時間を要した関係で、デスクトップ向けにはHaswell Refreshと呼ばれるラインナップが用意された。ただしこのHaswell Refreshは動作周波数を若干引き上げただけで、コア数などはHaswellと変わらない。