Googleが規制されている中国では、検索エンジンは百度(バイドゥ)の一人勝ちだ。一時は中国IT企業のトップランナーに躍り出たが、最近はスマートフォン時代への対応に苦しむ。目下、人工知能への集中投資で打開を狙う。

 バイドゥは2000年の設立当初から中国語での検索に力を入れ、シェアを伸ばしてきた。創業者の李彦宏氏は当時増えていたシリコンバレーからの出戻り創業者だ。李氏は北京大学でコンピュータサイエンスを専攻し、卒業後に渡米してシリコンバレーでエンジニアを務めた。

 2010年に米グーグルが中国市場から撤退した後、バイドゥの存在感は一層増して中国のインターネット検索で圧倒的な地位を占めた。その後も地図サービス「バイドゥ地図」、翻訳サービス「バイドゥ翻訳」を相次いで開始。中国のIT企業の代表格となった。

バイドゥ本社ビル(筆者撮影)
バイドゥ本社ビル(筆者撮影)
中国のシリコンバレーと呼ばれる北京市中関村にある
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 中国の三大インターネット企業を示す「BAT」でバイドゥが先頭に置かれているのは、同社こそが中国のネット企業をけん引するリーダーだったからだ。ただ、インターネット端末の主役がスマートフォンに変わってからは勢いに陰りがある。

 テンセントとアリババがスマートフォン時代を見据えたサービスと新たなエコシステムを生み出したのに対し、バイドゥは検索サービスにこだわって他領域への進出が出遅れた。守勢に回った結果、時価総額も売上高もテンセントやアリババの後塵を拝している。