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インターネット再生計画

ネットに入れない11億人、ブロックチェーン個人認証が救う!?

浅川 直輝=日経コンピュータ 2017/12/01 日経コンピュータ

 秘密鍵と公開鍵のペアを基に、データを盗み見や改ざんから守る公開鍵暗号方式。30年前の黎明期からインターネットの信頼を支え続けてきた基盤技術である。「公開鍵暗号なしにはEC(電子商取引)サイトも成立しなかった」(慶応義塾大学の村井純教授)。

 この公開鍵暗号方式を応用したブロックチェーン技術を活用し、信頼確保の仕組みを抜本的に刷新する動きが世界で広がっている。難民や途上国の国民など今までインターネットの信頼の輪に加われなかった「次の11億人」をつなぐ。

 中央の管理役を持たず、改ざんが難しいデータベースを利用者同士で共有するブロックチェーン技術は、国家による保護から取り残された人々に信頼確保の手段を提供する。国の規制に疑問を抱く人々にとっても、新たなビジネス基盤となり得る。

国の代わりに公的IDを提供

 象徴的な動きが、アクセンチュアが進めるデジタルID(Identity Document)発行プロジェクトだ。ブロックチェーンと生体認証技術を応用し、難民をはじめとしたあらゆる人に本人確認と個人認証の手段を提供する。2017年6月には米マイクロソフトと共同でデジタルID発行システムを試作し、デモを披露した。2018年以降、複数のパイロット事業を始める。

図 アクセンチュアと米マイクロソフトが試作したブロックチェーン個人認証システム
国による個人認証の手段がない11億人に提供する(画像提供:アクセンチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

 「デジタル時代の経済も社会活動も、IDなしには成立しない」。アクセンチュアで同プロジェクトを率いるクリスティーン・レオン氏は、誰もが使えるIDの意義をこう語る。仮にインターネットが使えても、パスポートなどのIDがなければ銀行口座を開くこともクレジットカードを申し込むこともできない。国が発行するIDを持たない人々にとっては、ネット上の経済活動が大幅に制限される。本人確認に使えるIDを誰もが持てるようになれば、デジタルビジネスの市場拡大にもつながる。

 アクセンチュアが試作したデジタルID発行システムの特徴は、IDを発行する複数の公的機関や、本人確認を実施する金融機関などをブロックチェーンでつなぎ、ネット経由で情報を共有できることだ。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)などの公的機関が難民にIDを発行し、IDを銀行が認証して口座を開設する、といった用途を想定する。

 これまでのID発行システムは特定の機関で発行したIDが別の場所では通じないなど、相互運用の面で問題があった。

ブロックチェーンで公開鍵管理

 デジタルIDの仕組みはこうだ。まず公的機関は犯罪歴などの審査を経たうえで、デジタルID発行システムを使って一意の番号(ユニークID)を発行する。続いて利用者のスマホアプリにコマンドを送って公開鍵と秘密鍵のペアを生成し、秘密鍵は本人のスマホアプリに保存。公開鍵はシステム内部でユニークIDと紐付けた上で、公的機関の電子署名付きでブロックチェーンに記録する。ブロックチェーンは複数の機関がノードを持つコンソーシアム型で運用し、金融機関や病院、政府機関などが参照できるようにする。

図 国が管理するデータとブロックチェーンが管理するデータの例
国でなくブロックチェーンを信頼の起点に
[画像のクリックで拡大表示]

 IDを得た人が銀行口座の開設を申請すると、銀行はブロックチェーンに登録された公開鍵と、利用者のスマホアプリに保存された秘密鍵で本人を認証。本人が確かに公的機関発行のIDを持つと確認できる。公開鍵を記録したブロックチェーンが、本人の身元を証明する拠り所になっているわけだ。より厳密に本人確認を実施する場合は、指紋データを含む本人データを公的機関に照会できる。

仮想通貨で口座を持てる

 ブロックチェーンの恩恵を受けられるのは、個人の信用がなく銀行口座を開くことができないアンバンクト(Unbanked)の人々だけではない。既存の法制度に不信感を持つFinTech企業は、ブロックチェーンが国に頼らない新たな金融システムになり得ると期待する。

 新たな金融システムの典型例がビットコインやイーサリアムに代表される仮想通貨だろう。アンバンクトの人々はもちろん、高額な送金手数料に不満を持つ一般消費者から一攫千金を狙う投資家まで、様々な人が自由にビットコインの口座を持ち、国内外問わずに送金できるようになった。

 ネットを30年来支えてきた信頼確保の技術に比べて、はるかに自由度の高いブロックチェーン技術。国家や法律に頼らない新たな信頼確保の技術として広がった場合、もたらすものは恩恵だけとは限らない。技術も運用ルールも成熟していない分だけ危うさも抱える。関係当局や企業、利用者がかじ取りを誤れば犯罪の温床となり、ブロックチェーン自体の信頼を失墜させかねない。

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