「開発チームには13カ国のエンジニアがいる。メンバーの足並みをそろえるには、日本語の文章を徹底的に排除する必要があった」――。

 こう強調するのは、楽天カードの清水洋輔氏(システム開発部 会員システム開発グループ スマートデバイスチーム リーダー)だ。チームにはスマホアプリやWebシステムの開発を手掛ける13カ国50人のエンジニアが在籍する。開発プロセスにアジャイルを取り入れ、2週間~1カ月のサイクルでリリースを繰り返している。

楽天カードの開発メンバー
楽天カードの開発メンバー
(出所:楽天カード)
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 清水氏らは2014年以降、開発スピードの向上やメンバーとのコミュニケーションを円滑にする取り組みを進めてきた。中でも設計書の改良が大きなテーマだった。何しろ13カ国のメンバーがいる。メンバー全員に意図が伝わり、開発スピードを高めるために設計書そのものを見直す必要があった。

 大きな問題は、設計書が日本語の文章を主体にしていた点である。メンバー50人中26人が外国人で、母国語や文化もバラバラ。「日本語を話せる外国人メンバーは4分の1程度」と、 リーダーを務めるアルシャル・アミーン氏(システム開発部 会員システム開発グループ Webシステム開発チーム リーダー)は打ち明ける。日本語主体の設計書に一刻も早く終止符を打つ必要があった。

 Excelベースの設計書にも問題があった。機能追加・変更に伴う設計書の更新が頻発し、多くのメンバーでファイルを共有するには適さなかった。“脱Excel”も、何としてでも達成したいテーマだった。

Wiki型情報共有ツール「Confluence」を導入

 そこで導入したのが、豪アトラシアンのWiki型情報共有ツール「Confluence」である。作図機能のプラグイン「Gliffy Diagrams」を組み込み、テンプレートを使って設計書を作るように改善した。

 ただし、これだけで全メンバーの足並みがそろうわけではない。13カ国のエンジニアに意図が伝わる書き方に改めなければならない。そのため清水氏らは、設計書から日本語の文章を排除し、視覚的・直観的にすぐ分かるビジュアル設計書を作り始めた。