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 チームを率いる上司として、部下に将来の方向性を示すことも重要だ。しかしこれは容易ではない。納得感の欠如で挙げたように、会社の方針を掲げるだけでは伝書鳩になるのがオチ。上司自身の考えを示す必要がある。

 方向感の欠如を招く言動は、何を目指しているか分からない、仕事に進歩がなく成長の場を作れない、仕事のベクトルがいつもバラバラ─といったことである。

 多くのITエンジニアの教育を担当してきた、富士通の武田さんは「どこを向いているのか分からない」という現場の上司を何人も見てきた。「プロジェクトの立ち上げ時のチームビルディングでは、目標や方針を掲げることが不可欠だが、それができていないケースが目立つ」(武田さん)と指摘する。

 もちろんプロジェクト全体の目標や方針は伝えるだろう。だが、開発チームにとっての目標や方針は別にあるもの。「プロジェクト全体ではなく、チームとして何を目指すのかという方向感を上司が示さないと“この上司についていって大丈夫だろうか”と部下は不安になる」(武田さん)。具体的には、「何が最大のミッションか」「ゴールはどこか」「達成して何を得られるのか」といったことを、チームおよび部下ごとに上司が説明することを勧める。

 とはいえ、部下ごとに方向性を示すのは容易ではない。部下によってそれぞれ考え方が異なるからだ。