テストの実行は開発工程の後半になるため、スケジュールがひっ迫している場合が多い。進捗管理を丁寧にして先を見通そうとするが、だいたいうまくいかない。人によってテストの実行スピードが大きく異なるのが原因の1つだ。テストの実行を管理する立場になると、常に悩むことになる。

 テストの実行が速い人は勤務態度が真面目で、そうでない人が不真面目というならば話は単純だ。しかし、実際の現場はそうではない。真面目に仕事に取り組んでいるのに、テストの実行が遅いという人は少なからず存在する。

 テストの実行では、手順と本来期待する結果を記載した「テストケース」に沿って、ソフトウエアの設定と実行を行い、結果や挙動を確認していく。テスト担当者には複数のテストケースが割り振られ、それを消化していく。

テストケースの例
No.テスト対象画面テスト対象エリアテスト対象要素項目トリガーパターン確認項目期待値
2お酒、タバコ通販TOP画面お酒、タバコ購入エリア「お酒」購入ボタンパターンの年齢のアカウントでログインし「お酒」購入ボタン押下P1_2
年齢:19歳
画面遷移先が正しいこと年齢制限エラー画面に遷移すること
3お酒、タバコ通販TOP画面お酒、タバコ購入エリア「お酒」購入ボタンパターンの年齢のアカウントでログインし「お酒」購入ボタン押下P1_3
年齢:20歳
画面遷移先が正しいこと購入画面に遷移すること

 技術知識、仕事への取り組み姿勢で大差がないにもかかわらず、テストケースを素早く消化する人と、なかなか消化できない人が出てくる。テストの実行スピードが異なる要因は「準備力」「段取り力」「判断力」の3つがあると、筆者は考えている。これらを意識するようになるだけで、テスト実行のスピードは格段に改善できる。