最近は有線LAN、無線LANに加えて、無線WAN機能を内蔵したPCも増えてきた。そこで今回は、PCの通信機能を見ていく。

無線LANの次世代規格は実効性能を重視

 無線LANは、IEEE 802.11acが標準になっている。「Wave 1」と呼ばれていた第一世代製品は1.3Gビット/秒までだったが、最近は下り方向MU-MIMOのサポートや4以上のストリーム、160MHz幅のチャンネル幅に対応した「Wave 2」と呼ばれる第2世代製品が徐々に増えてきている。ルーターについては2016年頃からWave 2対応機器が出ているが、PCについてはWave 1対応の製品がまだ大半だ。ただし、インテルの「Intel Wireless-AC 9260」など、Wave 2の仕様(MU-MIMOや最大1733Mビット/秒の通信速度)に対応した通信カードが登場してきており、2018年からはWave 2対応製品が増えると思われる。なおWave1、Wave2というのは正式な規格名ではなく、業界内で便宜的に使われている呼称である。

IEEE 802.11acのWave1とWave2の比較
IEEE 802.11acのWave1とWave2の比較
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IEEE 802.11acにおけるストリーム数/チャンネル数と最大伝送速度の関係。黄色地がWave1世代の製品の対応範囲である
IEEE 802.11acにおけるストリーム数/チャンネル数と最大伝送速度の関係。黄色地がWave1世代の製品の対応範囲である
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 次の技術としては、「IEEE 802.11ax」の標準化作業が進んでいる。従来の規格では理論上の通信速度の向上を進めてきたが、IEEE 802.11axでは、無線技術の普及に伴うトラフィックの増大を想定し、混雑した環境での実効速度の向上に重きが置かれている。電波が高密度に行き交う環境で、平均スループットを従来の4倍以上に高めることが目標とされている。

主な無線LAN規格
主な無線LAN規格
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 まだドラフトの段階ではあるが、クアルコムはIEEE 802.11axに対応した端末向けのチップセット「QCA6290」を2017年2月に発表している。8×8 MU-MIMO、2.4GHz帯と5GHz帯の同時通信(合計12ストリーム)により、最大1.8Gビット/秒での通信が可能だという。