統合か、連携か、それ以外か──。IT部門改革の解は複数あるが、成功のカギはただ一つ。変化を恐れず、挑戦を続けるところにある。

 統合か、連携による仮想的な統合か。あるいは第三の作戦か。いずれにしても、IT部門は全社の成長を支える組織への進化を迫られている。

 多くの企業が最適なIT部門の姿を模索し、試行錯誤している。

「統合こそ未来の姿」

 「従来型のIT部門はいずれ無くなる」と調査会社アイ・ティ・アール(ITR)の内山悟志代表取締役プリンシパル・アナリストは喝破する。

 内山社長によれば、IT部門に求められる役割は、基幹系システムを保守・運用する「守り」から、事業の成長に貢献する「攻め」へとシフトし続ける。このため、攻めのITを担う第2のIT部門の人員や予算はいずれ第1より大きくなる。結果として第1が担っていた役割は縮小の一途をたどり、いずれはITベンダーに全てを委託する選択肢もあり得る。

 その前に第2が第1を取り込めば、第1のIT部門は攻めのIT活用を支援する部門に転換できる道が開ける。

 IHIや日立造船のケースが好例だ。日立造船の第1のIT部門は、統合前はコストセンターと位置付けられ、組織は縮小を重ねていた。統合で「攻めのITに貢献するための部門として再編できた」と島崎雅徳常務執行役員ICT推進本部長は手ごたえを見せる。

 「第2情報システム部門」の立ち上げを支援するサービスの提供を2017年4月に始めたウルシステムズの植松隆マネージングディレクターも「第2のIT部門はデジタル化の起爆剤。将来は第1のIT部門と統合して攻めも守りも担うべきだ」と話す。

第1のIT部門が攻めに転じるうえでの課題
第1のIT部門が攻めに転じるうえでの課題
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