日本のユーザー企業にとって、オラクルのPaaSやIaaSは有力な選択肢になり得るか。

 AWSの導入などを手掛けているノーチラス・テクノロジーズはこの数カ月で、オラクルのクラウドを基幹系で活用できるかどうかを検証するベンチマークテストを実施してきた。同社の神林飛志会長は結果について「十分に利用できるレベル」と評価する。

 「PaaSはOracle DBが使え、IaaSは仮想マシンを搭載しないベアメタルのサービスがある。基幹系に限れば日本企業の要求を十分満たすと思う。日本企業にとっては基幹系を載せられるクラウドの選択肢が増えたと考えていいのではないか」と神林会長はみる。

 富士通が提供するOracle Cloudを評価するパートナーもいる。ERP「JD Edwards」などの導入が強みのコンサルティング会社ジェクシードは、富士通が提供するPaaSやIaaSを利用して、オンプレミスで稼働しているJD Edwardsをクラウドへ移行するサービスを10月に始めた。

 野澤裕社長は「JD Edwardsの主要ユーザーである中堅中小企業にとっては、米オラクルが提供するというよりも、富士通がサポートしているといったほうが、信頼感がある」と評価する。「当社はOracle DBなどのミドルウエアは販売してこなかったので、PaaSやIaaSを扱うことに抵抗感はない」(野澤社長)という。

 一方でライセンス費用の値上げなど、ユーザーがオラクルに抱く懸念をどう払拭するかも課題だ。「脱オラクル」を検討するユーザーも少なくない。

 これに対し、日本オラクルの石積尚幸副社長は「どのような顧客のクラウド化も支援できる」点を強調する。「米シカゴのDCを利用するのか、富士通が提供する東日本のDCを利用するのか、それともCloud at Customerを使うのか。様々な拠点から同一のサービスを提供しており、顧客に多様な選択肢を用意している」(同)。