全社を挙げてのクラウドシフトに合わせて、日本オラクルもクラウド強化を急ぐ。まず変えたのは営業体制だ。新年度の開始に当たる2017年6月に、大手顧客を対象とするクラウドソリューションの営業統括組織を設置するとともに、中堅中小企業にオラクル・デジタルを展開する体制も整備した。

 クラウドソリューション営業統括は、Oracle DBの利用企業を中心とした既存顧客にクラウド利用を促す役割を果たす。「IT部門の中期経営計画の立案を支援するコンサルティングサービスを無償で提供している」と竹爪慎治クラウドソリューション営業統括執行役員は話す。

 同組織は2つのグループから成る。「インサイト」と「クラウド・エンタープライズ・アーキテクト」だ。

 インサイトは経営コンサルティング経験者を中心にした組織で、クラウドとオンプレミスを使い分ける最適なアーキテクチャーなどを提案する。必ずしもオラクルの製品やサービスを前提にはしないという。クラウド・エンタープライズ・アーキテクトはインサイトの提案を受けて、より詳細な実装方法などを検討する。

 両組織とも「要員は10人以上」(竹爪執行役員)といい、拡大しているもようだ。販売パートナーが提供するサービスとの関係については「実装までは手掛けないので競合にはならない」(同)と話す。

 無償のコンサルティングサービスに加えて、日本オラクルが用意するクラウド移行の切り札が「Oracle Cloud at Customer」だ。顧客やパートナーのデータセンター(DC)内にクラウド専用のハードウエアを設置し、そこからオラクルのPaaSやIaaSを利用する形態のクラウドサービスを指す。

 従量課金制を採用し、オラクルがリモートで運用する。処理能力の拡張範囲は専用機の能力によって上限があるが、それ以外は通常のクラウドサービスと同じメリットを受けられる。