日経FinTechは2017年10月17日、読者限定の「Exclusive seminar」を開催した。今回のテーマは、スタートアップの新たな資金調達方法として脚光を浴びるICO(Initial Coin Offering)。シリコンバレーを拠点に活動するベンターキャピタル(VC)、DCMベンチャーズでインベストメント・ヴァイス・プレジデントを務める原 健一郎氏が、「注目を集めるICO、仕組みと影響を徹底解説」と題し、ICOの仕組みやチェックポイント、課題について解説した。

 DCMベンチャーズの原 健一郎インベストメント・ヴァイス・プレジデントは講演の前半で、ICO(Initial Coin Offering)を理解する上で重要なポイントを挙げた。さらに後半は、実際にトークンを購入する際の注意点などにも言及した。

DCMベンチャーズの原 健一郎インベストメント・ヴァイス・プレジデント
DCMベンチャーズの原 健一郎インベストメント・ヴァイス・プレジデント
(撮影:加藤 康)
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 原氏はICOの特徴の一つとして、「発行者は、売り出すトークンと自分たちの手元に保有しておくトークンの量を設定できる」点を挙げる。例えば、100万円分の独自トークンを発行したとする。「もし、発行されたトークンが全体の10%で、残り90%を発行者が保有していたとすれば、10%分のトークン販売で100万円の値が付いた瞬間、90%のトークンを保有する発行者は、900万円分の資産を持つことになる」(原氏)。

 発行者はICOを実施することで、手元の資産を一気に増やすことができてしまう。問題はここだ。「米国では、ICOのファウンダーが何%まで持てるようにすべきか、そもそも規制すべきかといった議論が繰り広げられている。発行者が80%も90%も保有しては、モラルハザードにつながりかねない。とはいえ何%までなら良いのかといった議論が詰め切れていないのが現状。今後、基準ができあがっていくだろう」と話す。

 原氏は、ICOトークンの購入を検討の際のチェックポイントについても説明した。まずは、「どんな分散型アプリケーションのためのトークンか」を確認する。その上で、「分散型アプリケーションによって実現されるサービスにニーズがあるかを確認すべき」(原氏)だという。