表計算ソフトのMicrosoft Excelを方眼紙に見立ててワープロのように使う「Excel方眼紙」。その是非を問う「Excel方眼紙公開討論会」が2017年9月30日に開かれた。否定派と肯定派の講演と、パネルディスカッション、来場者の質疑応答と、その内容は示唆に富む。最終回は、討論会を企画したグレープシティの八巻雄哉 Enterprise Solutions事業部プロダクトマネージャに、Excel方眼紙への思いを聞く。

(聞き手は高橋 秀和=ITpro)

Excel方眼紙公開討論会をどのような経緯で企画したのですか。

 2016年に、肯定派として登壇した長岡慶一氏のブログを見たのがきっかけです。「なぜここまで否定一色なのか」という疑問がわきました。容認派はわざわざ声を上げることはないでしょうから、サイレントマジョリティとしてExcel方眼紙を肯定する人もいるのではないか。否定派と肯定派がいれば、討論が成り立ちます。そこで討論会を企画し、2017年度の予算で準備を進めました。

討論会で企画意図を説明する、グレープシティの八巻雄哉 Enterprise Solutions事業部プロダクトマネージャ
討論会で企画意図を説明する、グレープシティの八巻雄哉 Enterprise Solutions事業部プロダクトマネージャ
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 長岡氏には快諾を得ることができ、否定派として講演した上原哲太郎氏は「製品抜きでExcel方眼紙の問題について議論を深めたい」と説明したところ、登壇していただけることになりました。Microsoft Excelという製品を深く理解している“Excelのプロ”として有名なOffice TANAKAの田中亨氏にお声がけしました。渡辺恭浩氏とは、Forguncyを世に出した際に、ネット上で交流する機会がありました。そのつながりもあり、Excelアドイン「RelaxTools Addin」の作者としてお誘いしました。

討論会は「presented by Forguncy」とうたってはいましたが、討論会の場では「Forguncy」というグレープシティの製品についてまったくと言っていいほど触れられませんでした。Excel方眼紙のような体裁のWebアプリケーションを、データベースをバックエンドに構築できるサーバーソフトなので、Excel方眼紙の問題を解決しようとして生まれた製品に見えます。

グレープシティの業務アプリケーション開発ツール「Forguncy」。Excel方眼紙の体裁でデータベースを使ったWebアプリケーションシステムを構築できる
グレープシティの業務アプリケーション開発ツール「Forguncy」。Excel方眼紙の体裁でデータベースを使ったWebアプリケーションシステムを構築できる
(出所:グレープシティ、以下同じ)
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 討論会では場の提供に徹しましたが、Excel方眼紙公開討論会を8月4日に告知してから、Googleの検索数は10数倍に増えました。討論会の翌日からも、数倍に増えたままです。ニコニコ動画でのライブ放送では、討論会の中で解決策の話になったときに「Forguncyって言ってあげて」というようなコメントが付くほど、宣伝はしませんでした。