EdTechに先行して取り組んでいるのは学習塾などの教育関連企業だ。小学校から高校まで4万人超の生徒を抱える学習塾「佐鳴予備校」は1999年から「生徒による自主学習が主体、教師はサポート役」というEdTechが目指す学習形態を実現してきた。

図 佐鳴予備校がEdTechを導入した経緯
先駆者「佐鳴予備校」、進化の歴史(画像提供:さなる)
図 佐鳴予備校がEdTechを導入した経緯
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 高校生向けコースは生徒が動画を使った電子教材で学習。サポート役を担う教師は、1人当たり年間100人の生徒を担当する。デジタル教材が教師を務めるので、少ない教員で多くの生徒を受け持つことができた。

 約20年で、佐鳴予備校のEdTech環境は着実に進化してきた。当初は外部の教育事業者が作成した動画教材を利用していたが、自前で制作する方針に切り替えた。「どんな教材が最も効果的か、教材の内容や授業時間などの試行錯誤を繰り返すには自前で開発する必要があった」と同予備校を運営するさなるの増田貴司取締役は説明する。

 2010年には自主開発した電子教材「@will」の運用を始めた。例えば60分の動画コンテンツを15~20分程度に分割し、合間に演習問題に取り組める教材を作った。集中力が続かない生徒がいたからだ。

 同時に動画をデータ配信する形にしたほか、演習問題の採点を自動化した。これが「教師の作業の効率化と質の向上につながった」(増田取締役)。