ビットコインとブロックチェーンの可能性に注目が集まるにつれ、その課題も浮き彫りになってきた。

「次世代」ブロックチェーン

 例えば、ビットコインのブロックチェーンでは1ブロック当たり1メガバイトの容量しかなく、ブロックに取り込めるトランザクションは1秒に7件程度しかない。また1ブロックのPoWに10分かかるのは、フォークする可能性も考慮すると、即時性の高い処理には使いづらい。

 そこで、これらの課題を改善した新たな仮想通貨やブロックチェーンが多数考案・開発されており、ビットコイン2・0やブロックチェーン2・0と呼ばれている。コンセンサスアルゴリズムを改善し、あらゆる処理が理論上可能な(「チューリング完全」と言われる)スクリプトを搭載することで、「ワールドコンピュータ」を目指す「Ethereum(イーサリアム)」や、国際的な標準仕様を目指す「Hyperledger」などがその代表格であるが、日本においても、「mijin」や「Orb」などのプライベートブロックチェーンが開発されている。

 また、ビットコインそのものも継続的に改善が進められている。ブロックサイズの拡大の議論や、〈マイクロペイメントチャネル〉によって小口取引をブロックチェーン外で処理する方法などが検討されている。

仮想通貨からの発展型

 では、ブロックチェーンを仮想通貨以外の用途へ応用するとはどういうことか、次のように考えると分かりやすい。

 もともと、ビットコインのブロックチェーンで管理されているのは、ビットコインの残高のやりとりである。トランザクションには送金するビットコインの金額が「数字」として記録されている。

 この「数字」を、他のものに置き換えてみる。例えば「株式」「土地の権利」といった具合である。こうすれば、権利の取引をブロックチェーンで実現できることになる。通常の商取引では、権利の移転と同時に金銭のやりとりも発生するから、それも併せてブロックチェーンに記録すればよい。金融用語でDVP (Delivery Versus Payment=証券の受け渡しと同時に決済を行うこと)と呼ばれる取引も仮想通貨建てだが実現できることになる。