シェアリングエコノミーといえば、宿泊施設の貸し借りを実施する「Airbnb」や、自動車のライドシェアリングを実施する「Uber」などが有名だろう。

 このようなシェアリングサービスにおいては、利用者同士の信頼性や、金銭の取引が(悪意のあるユーザーがいたとしても)きちんと成立することが重要であるため、一般消費者同士の取引にプラットフォーム事業者が介在する必要性がある。

 ここにブロックチェーンを利用することで、消費者そのものの信頼性や取引の真正性の向上を図ることができると考えられる。

 また、シェアリングエコノミーの経済圏に参加するサービス提供者、消費者それぞれの評判が、全ての利用者が参照可能な形で共有することも可能である。

 それによって、中間業者を介さずとも利用者同士の信頼性や金銭の取引がきちんと成立するなどして、事業者自体が不要になってしまう可能性さえある。

 結果として、サービス利用に当たってプラットフォーム事業者が介在することで発生していたコストが低減され、利用者はより安価にサービスを利用でき、シェアリングエコノミー文化が大きく発展する可能性を秘めている。

 そうした発展に伴い、サービス提供を「事業者的な立ち位置」で提供する消費者、いわゆるプロシューマーが増えていくと考えられる。

 それにより、これまで有効活用されていなかったリソースが効率的に活用される可能性もあるだろう。生産年齢人口の減少に苦しむ日本をはじめとした国々にとっては、このようなリソースの再活用促進は、社会のあり方を考えていくうえで意義があるはずだ。

Illustration by Yumiko Comukai
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 一方、ブロックチェーンを活用したシェアリングエコノミーの促進には課題も存在する。

 現在、民泊サービスでも問題提起されているように、「業」として営むことに法規制がある分野では、現在の日本の法制度ではプロシューマー的な活動が認められていないことも多い。新しい形の社会の形成に向け、法制度の整備も同時に考えていく必要があるだろう。