富士フイルムは、2017年10月11~13日まで開催している「ITproExpo 2017」で、大容量磁気テープとHDDのハイブリッド型データアーカイブソリューションを展示している。製造業における3Dデータの活用やあらゆるものがインターネットにつながる「IoT」の普及で、企業が所有するデータは増加の一途をたどる。膨大なデータを省エネかつ低コストで長期保管できる磁気テープの需要を喚起する狙いだ。

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 「ディターニティ オンサイト アーカイブ」では、利用頻度が低いデータを磁気テープに、高いデータをHDDに保管する仕組み。使用頻度に応じたデータの仕分けを自動で行う。あらかじめ利用者が設定した「90日以上アクセスがない」といったルールに基づき自動分別する。磁気テープストレージは240TBの保管が可能だ。

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 磁気テープのデータ保存にはほとんど電力を使用しないことから省エネになり、ハードウエア自体のコストも安価であるため、トータルで安価にデータ保存ができる。富士通の調査によれば、年間28TBずつ5年間で140TBのバックアップを行なった場合のトータルコストはHDDに比べ、4分の1程度に抑えられるという。

 バックアップについては、HDD側と磁気テープ側の切り分けが可能。HDDはデイリーでバックアップし、磁気テープのデータは数週間に1度といったように期間を設定できる。すべてのデータを一括でバックアップするのは、データ量が増えるに従って時間を要する。データを切り分けることで、バックアップの時間も減らすことができるという。

 2016年夏から販売を開始し、特に製造業からの引き合いが強いという。研究開発部門などにおけるシミュレーションデータ、三次元データなど「捨てられないが、頻繁には使わない」といった過去のデータを保管したいというニーズが他の業種に比べて高いためだ。クラウドでのデータ運用が一般化する中で、容量課金やセキュリティに関して不満を抱える企業にアプローチしていくとする。