産業技術総合研究所は、2017年10月11日から13日まで東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2017」で、人工知能(AI)をテーマに複数のワーキンググループ(WG)を運営する「人工知能技術コンソーシアム」の取り組みを展示している。

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 人工知能技術コンソーシアムは2015年4月に発足し、現在130社程度の企業が参加する。個々の企業でAIの取り組みが進む中、1社だけでは不十分なデータを共有したり、世の中のニーズからAIの活用法などを検討したりしている。

 参加企業はワーキンググループに分かれて活動する。実社会におけるAIの具体的な活用法を議論する「ユースケースWG」や、製造業でAI導入のプロセスを検討する「ものづくりWG」、住宅や店舗などでビッグデータを活用したリコメンドサービスなどを開発する「AIリビングラボWG」などがある。

 ブースでは「ユースケースWG」の取り組みを紹介。野村総合研究所(NRI)を筆頭に5社が参加し、2017年7月に活動を始めた。NRIのコーポレートイノベーションコンサルティング部の松村直樹氏は、「各企業から『AI活用で一体何をすればいいか』という声が多く寄せられている。WGでは、技術よりではなくニーズよりの視点から、社会におけるAI・データ活用のイメージについて議論していく」とユースケースWGの狙いを説明する。

 WGは、特に地方都市に焦点を当て、2030年の社会課題やAIによる課題解決について議論する。例えば、人口の減少が進む中で「交通はどうなっていくのか」など様々な問題を取り上げ、10年先や15年先を見据えたAI活用のイメージを話し合うという。2017年度内は、今後直面する課題や技術のシーズに関するアイデアを出し合う。2018年度以降はNPO法人や自治体にヒアリングをしたり、病院や生協などが保有するビッグデータを活用したりと、実践的な活動を展開する予定だ。