2017年10月11日、東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2017」で、LIFULLの長沢翼CTO(最高技術責任者)兼技術開発部長と同社LIFULL Labの上野哲史氏が「20xx年の住まい探し~XRが導く不動産テックの未来~」と題して講演した。

(撮影:新関雅士)
(撮影:新関雅士)
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 講演の冒頭、長沢氏は「LIFULLの目指す世界」を表現したイメージビデオを放映し、将来の住まい探しは拡張現実(AR)や仮想現実(VR)の技術で進歩すると聴衆に訴えた。例えば、契約前に住宅を内見する際に顧客は家具の配置を仮想的に検討できるようになるという未来だ。

 こうした将来像を念頭に、「情報を充実させ選べる住まい探し」を実現する重要性やそれに対応する同社の施策を長沢氏が説明した。

 「選べる住まい探し」を実現するには「物件データの分析や活用」が必要と長沢氏は話す。地図に物件の場所と価格を重ねて表示するサービス「HOME'Sプライスマップ」、日本および米国の主要都市を対象に算出する住宅価格指数「LIFULL HOME'S PRICE INDEX」がこの取り組みに当たるという。

 2017年7月に開始した「見える!不動産価値」にも触れた。同サービスは所有する不動産の参考価格や価格推移、市場ニーズが簡単に分かるもの。LIFULL HOME'Sが蓄積してきたビッグデータと独自の推計ロジックによって物件の市場価値をシミュレーションできるという。

 「選べる住まい探し」を実現する取り組みは他にもある。「人工知能(AI)による物件不整合画像検出」は深層学習を使うことで物件情報に登録された画像がテキストの説明と異なる場合を検出する。ビデオ通話で賃貸物件の見学や相談ができる「オンライン内見・IT重説(重要事項説明)サービス」もある。

 2017年夏に開始した「LIFULL HOME'S 住宅評価」にも触れた。他国と比較して日本は中古不動産の流通が少ない現状を指摘し、「専門家が中古不動産の状態を精査して安心を与える必要がある」(長沢氏)とした。

 次の段階として、「想像力で楽しむ住まい探し」を提供することが同社の課題になると長沢氏は話す。物件をスマートフォンのカメラで覗くと窓にカーテンを表示して引っ越し後の印象を確認したり、間取りの長さを計測したりできるアプリの開発に取り組んでいるという。

 後半は上野氏が登壇し、同社の研究開発部門であるLIFULL LabとXRへの取り組みについて言及した。XR(X Reality)は近年発展するVRやARなどの総称。不動産業界では「未完成物件の完成予想図表現」「遠隔地からの内見」「家具搬入のシミュレーション」などにおけるXRの活用が期待されるとした。

(撮影:新関雅士)
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