2017年10月11日、富士ゼロックス 改革マネジメント部 マネージャーの山崎 紅(あかし)氏は、東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2017」で働き方改革について講演、ICTが働き方改革を妨げることがある状況や、その状況をいかに乗り越えるかなどを説明した。

(撮影:中村宏)
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 冒頭、山崎氏は「働き方改革」を「誰が(人、組織)」「いつ(時間)」「どこで(場所)」「どうやって(手段、道具、プロセス)」実施するのかについて触れ、これらの新たな関係性が新しい働き方であり、そのポイントとなるのが多様性とICTであると述べた。

(撮影:中村宏)
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 新しい働き方の実践には、ICTは避けられない。例えば在宅勤務にICTは不可欠だ。しかし、社内で仕事をする場合とは違った管理の仕方やさらには働く人の意識の改革も求められる。例えば、在宅勤務が可能となっても、社内に紙の書類が残っていると仕事が進められない場合もある。こうした文書管理一つとってもこれまでとは異なり、さらにセキュリティを強化しすぎるとかえって不便になることもあり、利便性とのバランスも重要になる。こうした状況を踏まえた上で、山崎氏は、ICTが働き方改革を導入する際の“壁”となりうることについて触れた。

 この壁には3つの種類がある。1つは「何ができるか分からないから使わない」という壁。これを解決するには、社内広報を通じた利用者の意識改革が必要になると語る。富士ゼロックスでは、ICTでどのようなことができるのかを社内向けに紹介するビデオを作成し、利用者の意識改革を促したという。

 2つめの壁は、できることが分かっても「実際は使わない」社員がいるという点だ。山崎氏は、社内教育とともに、「水曜日はチャットを使う日」などのイベントを設けて利用を促すのが有効であるとした。

 3つめは「システムの悪いところに目を向けてしまう」という壁だ。変化を伴う改革はどうしても以前の状態の方を居心地がいいと感じてしまう。これについてはとにかく使ってもらうことが重要と語った。デジタルツールを苦手とする社員も少なくない現実の中、ICTの導入によって実現する快適なオフィス環境をイメージ図などで提示するといった手段も有効であるとした。

 今回の講演では、富士ゼロックスの本社での働き方改革の事例も紹介された。同社は、一部に導入されていたフリーアドレスを拡大し、空いたスペースを予約不要のミーティングスペースやビデオチャットなどが使えるブースに利用しているという。