「人々が人生を豊かに生きていく。同時に企業の生産性も上がっていく。日本がその中で輝いていく」――。内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置した際、安倍晋三首相がこう宣言してから1年がたった。

 「長時間労働を自慢する社会を変えていく」とした安倍首相は「働き方改革は最大のチャレンジ」との認識を示したが、皮肉にもその認識は正しく、労働時間はほぼ横ばいが続く。厚生労働省が公表する実労働時間(パート社員除く)をみると、2016年が168.7時間なのに対し、2017年(2016年8月から2017年7月までの12カ月移動平均)が168.5時間。ここ1年で1カ月当たりわずか12分しか減っていない。

図 1カ月当たりの総実労働時間の推移
図 1カ月当たりの総実労働時間の推移
働く時間は減っていない(写真出所:首相官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201609/02kunji.html))
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 ここで手をこまぬいていては成長を維持できない。働き手となる15~64歳の人口は既に年70万人のペースで減っている。掛け声以上に働き方改革は喫緊の課題となっている。

 生産性を上げるにはまず目先の仕事のムダを無くし、やるべき仕事を絞り込む。そのうえで同僚や取引先などとのやり取りが必要な仕事と自分だけで完結できる作業に分け、それぞれの効率を上げると良い。