2017年10月11日から10月13日まで、東京ビッグサイトで「Japan VR Summit 3」が開催される。12日午前11時15分からのプレミアムセッションでは、「巨大VR市場-中国の現状」と題して、中国VR市場について現地のプレーヤーが議論を交わす。ハードウエアメーカー代表として中国Huawei Technologies、VR関連サービスの提供者として中国Tencentのキーパーソンが登壇する。

 中国の調査会社iResearchは2017年6月、2021年に中国国内のVR(仮想現実)・AR(拡張現実)関連市場が約1兆3500億円規模に成長すると発表した。市場全体の3分の1強の消費金額を占めるのが、ゲームや映画、ライブ、旅行などのコンテンツを消費するコンシューマコンテンツ。ほぼ同規模でVR機器本体の売上高が並ぶ。企業のビジネス活用の割合は10%未満である。

 インフィニティ・ベンチャーズの田中章雄共同代表パートナーは中国のコンシューマ市場について、「多くの中国のコンシューマは、VR機器を設置したテーマパークやアミューズメント施設でVRを体験していることが多い。30分のゲームプレーで通常7~12ドル程度と、利用料としては高額な部類だ」と説明する。PCに接続するハイエンドVRシステムを導入した商業施設でVRを楽しむというスタイルは、日本市場とほぼ同じ過程を進んでいるようだ。

 一方、今後徐々に立ち上がってくるのがBtoB市場だ。「現在の市場規模は約3億7000万円程度だが、2021年には約1500億円程度まで成長すると見られている」(田中氏)。教育分野や工業デザイン、不動産販売などでの利用拡大が見込まれるという。例えば、中国大手の不動産サービスプロバイダーのLianJiaは、複数枚の写真から建物の3Dモデルを作るためのシステムを導入し、オンライン上で不動産のVR体験ができるようにしている。このほか、Alibabaの子会社AlipayやBaiduなどのIT系大手もVRサービスの新規事業に乗り出している。

 日本国内よりもボリュームがあるものの、生存競争が非常に厳しい中国市場。中国のユーザーが望むVRとはどのようなものか、ニーズに合わせたVRシステムをどのように作り上げていけばよいのか、セッションでの議論に注目したい。