これまで積水ハウスは、顧客が家を建てるまでの工程に沿って、営業(商談)から設計、生産、施工、点検などの各部門が、個別にシステムを開発・運用してきた。そのため、最も重要な住宅1軒1軒の情報を1つのデータベースで一元管理できておらず、工程間のあちこちでムダが発生していた。このムダを解消し、住宅情報の一元管理を目指した「邸情報プロジェクト」を2009年に立ち上げ、2014年までに実現した。

 2013年には、パソコンでの仕事を前提としていた従来型の業務を全面的に見直し、全社員にiPadまたはiPhoneを合計3万5000台配布。アプリは全て自社開発して「利用率100%」を達成した。タブレットやスマートフォンから社内で唯一の邸情報(住宅情報)に全社員がアクセスして仕事ができる態勢をいち早く整えた。

 その結果、社員はパソコンから解放され、どこでも仕事ができるようになり、残業時間や休日出勤が減少。オフィス外での仕事が多い、住宅の営業担当者や現場監督は直行直帰も可能になった。この数年では、昨今の働き方改革の先進事例ともみなされている。