インテルの新しいサーバー向けCPU、Xeonスケーラブル・プロセッサーは、これまで分かれていた製品ラインアップを統合し、「Platinum」「Gold」「Silver」「Bronze」というサブブランドを新たに設けた。

 これまでのXeon E5とXeon E7は、用途の違いからソケットや対応メモリーなどのプラットフォームが異なっていたが、Xeonスケーラブル・プロセッサーではプラットフォームも統合。「ベンダーは開発や検証のコストを抑えつつ幅広い製品ラインアップを展開しやすくなった」(インテル データセンター・グループ・セールスディレクターの福原由紀氏)。

 今回は、新しいXeonのプラットフォームがどうなったのかを解説する。

コアは3種類、メモリーは6チャンネルアクセスに

 Xeonスケーラブル・プロセッサー(開発コード名はSkylake-SP)には、2017年9月時点で大きく3種類のダイ(半導体本体)がある。最大28コアの「XCC」、最大18コアの「HCC」、最大10コアの「LCC」である。このうち、LCCとHCCには、2個のメモリーコントローラーと3個のPCI Expressコントローラー(それぞれが16レーンをサポート)、1個のUPIユニット(2ポート)がある。XCCは、それに加えて1ポートのUPIユニットが1個、PCI Expressコントローラー(16レーン)が1個追加されている。

XCCにはUPIが3ポート分と、PCI Express x16が4ポート分のコントローラーノードがある。HCCとLCCはUPIが2ポート、PCI Express x16が3ポートだ。
XCCにはUPIが3ポート分と、PCI Express x16が4ポート分のコントローラーノードがある。HCCとLCCはUPIが2ポート、PCI Express x16が3ポートだ。
(出所:米インテル、Intel Xeon Processor Scalable Family Technical Overview)
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 メモリーコントローラーは、前世代のXeon E7 v4である「Broadwell-EX」では、外付けデバイスの「スケーラブル・メモリー・バッファー」を使うことで、8チャンネル利用できた。各チャンネルに最大6枚のメモリーモジュール(DIMM)を接続可能だが、最大だと24枚のDIMM(8チャンネル×3枚)の構成になっていた。

前世代のXeon E7である「Broadwell-EX」は、メモリー・バッファー・チップを介して8チャンネルでアクセスできた。ソケット当たりのモジュールは最大24枚だった。
前世代のXeon E7である「Broadwell-EX」は、メモリー・バッファー・チップを介して8チャンネルでアクセスできた。ソケット当たりのモジュールは最大24枚だった。
(出所:米インテル)
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 前世代のXeon E5 v4である「Broadwell-EP」では、ソケット当たり4チャンネル。DIMMはチャンネル当たり3枚、最大で24枚のDIMMを取り付けられる。チャンネル/ソケットで、DIMMは、チャンネルあたり3つ、24DIMM/ソケットとなる。最大容量は1.5TBだ。なお、メモリーのアクセス速度はBroadwell-EPはなお、メモリのアクセス速度は、Broadwell-EPは最大でDDR4-2400、Broadwell-EXではDDR4-1866となっていた。

 これに対して、Skylake-SPは、2つのメモリーコントローラーがそれぞれ3本のメモリチャンネルを持つ。各メモリーチャンネルには、2枚のDIMMが接続可能で、ソケット当たり最大12DIMMが接続可能となっている。

 メモリーの最大速度はDDR4-2666。最大容量が1.5TBのモデルと、768GBのモデルの2種類がある。メモリーの接続についてはBroadwell-EPを引き継いだ格好で、メモリー・バッファー・チップは不要だ。ソケット当たりの容量はXeon E5 v4と同等だが、メモリー速度が高くチャンネルが増えていることから、インテルによれば帯域幅は60%向上している。最大8ソケットで動作するため、マザーボード当たりの最大メモリー容量は12TBとなる。

Skylake-SPは、2個のメモリーコントローラーに各3チャンネルある。チャンネルには、2枚のDIMMを接続可能だ。
Skylake-SPは、2個のメモリーコントローラーに各3チャンネルある。チャンネルには、2枚のDIMMを接続可能だ。
(出所:米インテル、Intel Xeon Processor Scalable Family Technical Overview)
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 Skylake-SPは、最大搭載メモリー量ではBroadwell-EXに劣る。最大8ソケットの場合、Broadwell-EXは24TBを搭載可能だ。このときDIMMは「3DS LRDIMM」が必要になる。3DSとは、複数のDRAMのダイを重ねていることを指す。そのうちの1枚のみが外部と接続するため、外部から複数ダイを駆動する必要がない。「LR」は「Load Reduced」を意味する。データライン、アドレスライン、クロックなどの信号が全てバッファーされているDIMMで、アドレスラインとクロックだけをバッファーするレジスタードDIMM(一般的にサーバーで使われてるDIMM)よりも高速動作が可能だ。ただし、3DS LRDIMMのコストは高い。Skylake-SPでBroadwell-EXほどの大容量メモリーに対応しなかったのは、スケールアップを狙う「スーパーサーバー」ではなく、スケールアウトのニーズが高いと判断したためだろう。