Q.生産性が低いプログラマほど残業時間が長く、支払う給与が高くなっています。逆に生産性が高いプログラマは給与が低くなるという不平等が生まれています。生産性が低いプログラマの残業代を支払わないといけないのでしょうか?

 システム開発で活躍するプログラマですが、確かに能力によって成果に差が生じます。製造本数や品質などが代表です。生産性が低いプログラマの場合、スケジュールに間に合わせるために、割り振られたプログラムを休日出勤や残業によって開発しなければなりません。1本目の開発が遅れて休日出勤や残業を重ね、疲れが取れないまま次の開発へ。そうしてさらに進捗遅れが生じます。

 開発現場ではよくある光景です。結果、生産性が低いプログラマは長時間残業を重ねて給与の支給額が増えていきます。そもそもプログラム開発は給与格差が少ない若手が担うケースが多く、生産性が低い社員が生産性の高い社員よりも給与が高くなる傾向にあります。

 では、生産性が低いプログラマに残業代を支払うべきなのでしょうか。人事労務コンサルティングを手掛ける筆者のもとにはこんな質問が寄せられます。

 結論から言うと、答えは「イエス」です。極端ですが、成果が全く無い場合でもプログラマに給料、そして残業代を支払わなければなりません。休日出勤も同様です。バグが多く生産性の低いプログラマは大幅にスケジュールを遅延させる場合もあり、成果が無いどころか、マイナスになるケースもあるでしょう。

成果は「賞与」で考慮すべき

 労働基準法や最低賃金法では「労働時間に対して賃金を支払うこと」を前提としています。社員が残業すれば、企業はその時間分の残業手当を支給しなければならないのです。休日出勤も同様です。支払っていない場合は、ニュースでよく聞く「未払い残業」となります。

 一般に、成果に応じて支払いにメリハリを付けるなら「賞与」で考慮すべきです。賞与は通常、「基本給比例分」と「成績(業績や成果)比例分」から成ります。このうち前者の基本給比例分は成果に関係なく誰もがもらえる支給分、後者の成績比例分が成果に応じた支給分となります。成果に応じてメリハリを付ける場合、後者の配分を多くします。

 管理職の中には「昔は違った」と思う人がいるかもしれません。かつてSEだった筆者も、若手のころと時代は大きく変わったと感じています。

 昔なら、納期遅れやトラブル対応時などで、深夜に帰宅したり、徹夜したりすることが当たり前のようにありました。時には上司から、今ではパワハラと言われるように怒鳴られて休日出勤や残業をすることもありました。しかし今や、同じことを自分たちがすると、会社から注意されるケースが増えています。