プロジェクトマネジメントの教科書「PMBOK(Project Management Body Of Knowledge)ガイド」の第6版では、アジャイルの取り込みと2つのビジネス文書の追加が大きなポイントだ。その一方で、なじみの用語が消えたものも少なくない。プロジェクトマネジャーには、従来の発想を捨て去ることを求めていると言える。

PMGOK新版ではなじみの用語がいくつも消えた
PMGOK新版ではなじみの用語がいくつも消えた
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「タイム」が消え「スケジュール」へ

 まず消えたのは、PMBOKガイドの知識エリア「タイムマネジメント」という名称である。タイムマネジメントは第6版で「スケジュールマネジメント」と変わった。期間を重視するスケジュール管理へ。納期が厳しい現代のプロジェクトでは当然の流れかもしれない。

 IT企業の組織名に影響を及ぼしそうなのが「品質保証」という名称が消えたことだろう。知識エリア「品質マネジメント」では、品質保証から「品質のマネジメント」に名を変えた。プロセスのアウトプットとして「品質報告書」と「テスト・評価文書」を追加している。

 「人的資源マネジメント」という名も消えた。PMBOKガイド第6版では、第9章「資源マネジメント」に名称変更したのだ。国際標準のISO 21500に準拠し、「人」だけでなく「物資」などもマネジメントの対象にした。これに伴い「チームの獲得」と呼ぶプロセスの名称も削除され、「資源の獲得」に変更されている。

そもそも「コントロール」などできない

 全般にわたることだが「コントロール」という名称もいくつか消えている。例えば知識エリアの「コミュニケーションマネジメント」では、「コミュニケーションコントロール」と呼ぶプロセスがあった。だがこれは「コミュニケーションの監視」に変更された。ステークホルダーとのコミュニケーションそのものはコントロールできないという判断であり、監視して状況を評価し、対策を取るという基本的な考え方に落ち着いている。