日経BP社では、「デジタルイノベーションで創る競争戦略」を統一テーマに、IT Japan 2017を2017年7月5日(水)~7日(金)の3日間、品川プリンスホテルで開催した。このIT Japan 2017の講演を採録。企業のトップやCIO、国内外の主要IT企業のトップが、経営とITについて語った。
IT Japan 2017レポート
目次
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先端技術を活用して新たな価値を顧客に提供
コマツのイノベーション戦略---コマツ 取締役会長 野路 國夫 氏
コマツでは、イノベーションを技術革新ではなく、「お客様に対して新しい価値を創造すること」だと定義している。先端技術の活用も大切だが、新しいビジネスモデルをつくらないとイノベーションには結びつかない。
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お客様からの多彩なニーズに応えてクラウドの「No.1カンパニー」を目指す
日本を幸せにするクラウドカンパニーへ~生産性向上を実現するPOCO~---日本オラクル 取締役 会長 杉原 博茂 氏
私が社長に就任し、「日本を幸せにするクラウドカンパニーへ」という思いを込めた「VISION 2020」を掲げてから3年が経過した。このビジョンには2つの柱がある。1つが、2020年までにクラウドで「No.1カンパニー」になること。もう1つが、最も賞賛されるクラウドカンパニーになることだ。
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高度化・複雑化するサイバー攻撃には新たな防御アプローチが必須に
つながる世界のセキュリティ~Digital Transformation 時代に向け~---トレンドマイクロ 取締役副社長 大三川 彰彦 氏
AI(人工知能)やロボット、IoT(Internet of Things)などの新しいテクノロジーが浸透し、私たちの生活は豊かになった。その一方で、今まで以上に膨大なデータが生まれ、これを攻撃者から守る必要がある。
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製造業向けのIoTプラットフォームを開発 「ものづくり」の最適化に挑む
FANUCのIoTへの取り組み---ファナック 取締役専務執行役員 研究統括本部長 松原 俊介 氏
当社が開発している「FIELD system」は、製造現場での使用を目的としたIoT(Internet of Things)のためのプラットフォームだ。CNC(コンピュータ数値制御)装置やロボットだけでなく、周辺デバイスやセンサーを接続して製造・生産を最適化するためのアナリティクスを提供することが…
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エコシステムの触媒となることを目指して全社を挙げた改革を展開
ビジネスエコシステムで光り輝く未来へ かけがえのないパートナーを目指して---日本ユニシス 取締役常務執行役 CMO 齊藤 昇 氏
先日、アマゾン・ドットコムが1兆5000億円で高級食品スーパーを買収するという報道があった。このことが象徴するように、デジタル化の進展で業界の垣根がなくなりつつある。ウーバー・テクノロジーズやAirbnbに代表されるように、デジタルテクノロジーを武器に既存のビジネスを「壊す」企業も相次いでいる。
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世界中から優秀な人材を採用 多様性の拡大で変化に強い組織に
多様性拡大で競争力を手に入れたHDEの取り組み─ 3000社、250万ユーザーのサービス立ち上げ秘話 ─---HDE 代表取締役社長 兼 CTO 小椋 一宏 氏
1996年、Linuxの管理ソフトを開発・販売する会社としてHDEを立ち上げ、21年になる。当社は5年ほど前、大きな変曲点を迎えた。そこで会社が多様性を身につけ、成長軌道に乗ったと言える。
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デジタルエコノミーの「三種の神器」で新たなビジネスモデルを創出せよ
高齢化・人手不足とデジタルエコノミーの動向---野村総合研究所 未来創発センター長 研究理事 桑津 浩太郎 氏
2016年は、さまざまな分野で人手不足が話題となり、大手ファミリーレストランが実質的に24時間営業をやめたり、宅配事業者がサービスの品質を落としたりといった出来事が起こった。これらは労働力の供給が足りなくなったという意味で、歴史的な事例だ。
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「IoX」ソリューションの提供によってお客様のデジタル革新を支援していく
ヒトとITが創り出す新たな「現場」---新日鉄住金ソリューションズ 代表取締役社長 謝敷 宗敬 氏
欧州委員会が発表した2016年度の「EU産業研究開発投資スコアボード」(世界のトップ2500社を対象にした研究開発投資の調査)によると、IT関連セクターのR&D(研究開発)投資額は、3年間で61%増の24兆7000億円。金額・伸び率とも、ほかのセクターを圧倒している。ITを活用した技術革新は、デジ…
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大きな可能性を秘めたブロックチェーン 未来の組織、社会をどのように変えるか
ブロックチェーンが創るデジタル社会---早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問 一橋大学名誉教授 野口 悠紀雄 氏
ブロックチェーンは、ビットコインなどの仮想通貨の基礎技術として登場した。その応用範囲は非常に広く、仮想通貨にとどまらず、企業や社会を根本的に変えてしまうかもしれない。
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変化する顧客の行動を見つめ新たな顧客体験づくりで変革を起こす
「顧客の時代へ ─ The Age of the Customer」~顧客志向のデジタルイノベーション~---セールスフォース・ドットコム 専務執行役員 デジタルイノベーション事業統括 山賀 裕二 氏
UberやAirbnbに代表される破壊的イノベーションが、社会やビジネスを変えつつある。Uberの価値は、ドライバーと乗客とのマッチングだけではない。料金はクレジットカード払いで、支払った後にはメールで領収書が送られてくる。目的地はあらかじめインプットできるので、海外出張などの際に会話で苦労するこ…
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イノベーションへの投資余力を生み出すソフトウエア保守の“破壊者”
イノベーションを実現するための経営者の選択─ 競争力と差別化をもたらすデジタル変革---日本リミニストリート 北東アジア統括ジェネラルマネージャー 兼 日本支社長 脇阪 順雄 氏
最近、デジタル変革やイノベーションといった言葉を頻繁に耳にする。「破壊的イノベーション」などと呼ばれることもある。そして、イノベーションによる変革を実現しようとする企業において、今後ITが欠かせない手段になる。同時に、それを主導するIT部門にとっては、デジタル時代のビジネスの主役に躍り出るチャンス…
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全社で“ほぼ残業ゼロ”を実践しながら持続的成長を達成している秘訣とは
ほぼ全員残業ゼロなのに、10年連続で売上高が伸びている理由---ランクアップ 代表取締役 岩崎 裕美子 氏
ランクアップは、「効果が実感できる製品・サービスによって、女性の悩みを解決し、輝く女性を増やします」を理念に据える化粧品会社だ。累計販売本数750万本の「マナラホットクレンジングゲル」をはじめとするヒット商品の数々により、2005年6月の会社設立以来、売り上げは常に右肩上がりを続けてきた。現在、社…
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“クラウドの先”を見据えて情報戦略を構築せよ 「The Machine」がパラダイムシフトを加速
すべてがコンピューティングになる社会、エンタープライズITの次の姿~ハイブリッドITとインテリジェント・エッジ---日本ヒューレット・パッカード 代表取締役 社長執行役員 吉田 仁志 氏
世界経済フォーラムを主宰している経済学者のクラウス・シュワブ氏は、2025年に世界の人口の90%がインターネットに常時アクセスし、1兆個のセンサーがインターネットに接続され、そのトラフィックの50%が家電製品などのデバイスによるものと予測している。IoT(Internet of Things)をベ…
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AIによる企業価値創造の3つのレバーを引く 差別化を図るためには「AI 教育」が重要に
AIで企業を強くする---日本アイ・ビー・エム 執行役員 グローバル・ビジネス・サービス事業本部 戦略コンサルティング&デザイン統括 池田 和明 氏
今、世の中は、モノの製造のあり方を変える3Dプリンティングや、人間のような判断能力を備えたロボティクスをはじめ、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、量子コンピュータ、生命情報学といった先端技術によって大きく変わろうとしている。そうした技術と密接にかかわり、新たな価値を創造していくうえで、中核的役割…
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iPhoneがARデバイスになる時代がやって来る あらゆる産業分野に広がるビジネスチャンス
最新デジタルビジネスの現状と適用---シリコンスタジオ 代表取締役社長 寺田 健彦 氏
コンピュータは、ハードウエアとソフトウエアの両面で急速に進化してきている。ここ25年くらいでコンピュータの演算速度は50万倍になっており、今後10年間でさらに1000倍速くなるという予測もある。このようなハードウエアの進化に合わせて、ソフトウエア技術の進化も著しく、大きく3つの潮流で捉えることがで…
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AIを活用したデジタルシフトで新しい価値を アイデアを実現するスピードが勝負を分ける
デジタルとデザインのかけ算がイノベーションを起こす---日立製作所 サービス&プラットフォームビジネスユニット Senior Technology Evangelist 渡邉 友範 氏
スマートフォンなどの普及によって、様々なネットサービスが日常生活の中に浸透してきている。魅力あるサービスは、一気に広範な利用者を獲得する傾向にあり、そこでは大きなビジネスチャンスが生まれている。さらにIoT(Internet of Things)がこうした傾向に拍車をかける。「アイデアをいち早く価…
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優れた経営者の条件は戦略ストーリーを創るセンス ベターを目指すのではなく「違い」を際立たせる
経営はスキルでやるものではない 内発的な動機が戦略を育む---一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 教授 楠木 建 氏
経営者は会社や事業を丸ごと動かして成果を出すことに責任を持つ。「担当分野」がないのが経営だ。担当者であれば、その分野に必要なスキルがモノをいう。ところが全体を相手にする経営という仕事になると、「センス」としか言いようがないものの勝負になる。
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デジタル変革とIT変革の両輪で競争力強化に向けたアプローチを実践
デジタル先進企業のノウハウを既存企業に 既存企業はソフトウエアカンパニーへシフト---Dell EMC / EMCジャパン 代表取締役社長 大塚 俊彦 氏
デジタル変革の流れは構想段階から実践段階へとシフトしている。「今何を始めるべきか」が、今後の競争力を大きく左右する。そして取り組むべき観点は大きく4つある。デジタルの力でビジネスを変革していく「デジタルトランスフォーメーション」、既存ITインフラの変革を図る「ITトランスフォーメーション」、デジタ…
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社員一人ひとりの力を組織力に変える 3つの切り口で提唱する働き方改革
働き方改革は手段であって目的ではない 働き方を変え、何を目指すのかを考える---日本マイクロソフト 代表取締役 社長 平野 拓也 氏
世界は今、AIに代表される“知性革命”の時代を迎えようとしている。企業が持続的な成長を目指すには、その技術を活用した「デジタルトランスフォーメーション」を加速する必要がある。働き方改革はその手段だ。ただし、それが目的になってはいけない。働き方改革の先にあるもの、「働き方でどのようにビジネスを変革し…
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世界の経営学の“常識”からひもとく日本企業のイノベーション創出への視座
人脈の「強い結び付き」と「弱い結び付き」が知の探索と進化を支える---早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール 准教授 入山 章栄 氏
日本企業にイノベーションが足りないと言われて久しいが、それは世界中の企業の悩みだ。イノベーションは世界の経営学者の最も重要な研究テーマの1つでもある。長年の研究から、イノベーションを起こすために何が必要かということもだいぶ分かってきた。
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