パッケージ活用、自社開発、旧資産の活用など基幹系刷新の手法は様々。だが、不要な業務やソフトを削ってシステムをスリムにするという目的は共通する。先行して挑んだ7社の「ダイエット術」を探ると、成功に向けた勘所が見えてきた。経営層と利用部門を巻き込み、廃棄に強い意志を持って臨むことが肝要だ。

 「事業のグローバル化、システムのキャパシティーと柔軟性。20年後を考えた時、メインフレームを中心とした自社開発システムを抱えるべきなのか」。日清食品ホールディングス(HD)はこうした問題意識の下、メインフレームを撤廃し、パッケージソフト中心のシステムへの転換を図った。

日清食品ホールディングスのスリム化
日清食品ホールディングスのスリム化
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 2017年1月、59個のシステムを動かしていた1977年稼働のメインフレームを撤廃。旧システムは実に40年動き続けた計算だ。2015年に180個あったシステムは2017年内に38個まで減らす予定だ。

 「システムの多くは、やめることを前提として開発していない。結果として仕様書が無い状態でもシステムを苦労して使い続け、乱立を許してしまう」。こう考えた喜多羅滋夫執行役員CIO(最高情報責任者)は見える化、整理整頓、利用部門が損得を判断しやすい提案で説得という3ステップでスリム化を進めた。喜多羅CIOは外資系企業のIT部門で経験を積み、安藤宏基社長が基幹系刷新の推進役として2013年に同社へ招いた人物だ。

 まず取り組んだのは見える化だ。外部の技術者に依頼して、システムとデータの流れを徹底的に調査。基幹系を核にオープンシステムやグループウエア、Excelベースのシステムなど180超が複雑に絡み合う関連図が2012年冒頭にできあがった。「経営層の1人が『これは回路図か』と評した」(喜多羅CIO)。情報企画部の西田大吾係長は「保守運用に没頭していて全体像を考える機会が無かった。関連図を見てこんなにあるんだと驚いた。全体像は誰一人知らなかった」と振り返る。

 次に進めたのがシステムそれぞれの行き先を決める整理整頓だ。受け皿はSAP ERP、米マイクロソフトのクラウド「Office365」、ワークスアプリケーションズの人事給与パッケージ「COMPANY」の3つだ。