iPhone 8は見送って11月発売のiPhone Xを待つ──。

 「iPhoneファンとしては『iPhone X』一択だ。両方手に入れることができればベストだが、いくらなんでもそこまでお金をかけてiPhoneに入れ込む理由は見つからない」と当初は思っていた。

 だが、「とりあえずiPhone 8を購入し、約2か月後にiPhone Xに買い換える、といった攻めの姿勢で、この異例の時間差攻撃に臨むという選択肢もあるのではないか」という考えも地殻変動のように隆起してきた。11月であれば、iPhone 8を中古市場で十分高値で売れるという目算も働く。

iPhone X
iPhone X
出所:アップル
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ジェットブラックに酔いしれた去年の私は何だったのか

 iPhone 7 Plusユーザーとしては、見た目の“変わった感”に乏しいiPhone 8は無視しても問題ないという気持ちで、当初は冒頭の「iPhone Xを待つ」論者だった。その一方で、iPhone 8は背面がガラスになっているそうで、実際に手に取ったときの質感がiPhone 7とは大きく異なるであろうことは容易に想像でき、Appleの発表以降「8」が頭の片隅に存在してしまうから困ったものだ。

 それにiPhone 8の「シルバー」があまりにかっこいいではないか。写真を見ただけにもかかわらず、透過率の高そうなガラスの光沢を通して放つ鈍いシルバーの輝きに、これまでのシルバーとは異次元の輝きを感じ取り、気分が高揚する。

 それにしても、2016年の今頃、「漆黒の闇に差し込む一筋の閃光! ジェットブラックしかないぜ」と騒いでいた自分は何だったのかと思う。「8」のガラスの光沢を前にして、そんな思いは一瞬にして吹き飛んでしまい、Appleのマーケティング戦略にまんまと踊らされる自分にちょっとだけイラつく。

 というわけで、この原稿を書いている14日の午前5時現在、iPhone Xを待つか、iPhone 8→iPhone Xと攻めの姿勢で臨むか悩んでいる最中である。15日16時1分に、パソコンの前に座ってiPhone 8予約のサブミットボタンを連打している自分がいるのかどうか、今はまだわからない。

iPhone Xは文句なく「買い」

 「8」の前で、迷える小市民と化している自分とは裏腹に、iPhone Xは文句なく「買い」と断言できる。買わないでどうする。Appleがキーノートスピーチで「次の10年をリードするパワフルな技術を盛り込んだ」(意訳)と述べた通り、理屈を度外視した部分ですごそうなことを直感するし、その近未来感が半端ない。

ティム・クック氏の「One more thing...」のフレーズに続きiPhone Xが衝撃のデビュー
ティム・クック氏の「One more thing...」のフレーズに続きiPhone Xが衝撃のデビュー
出所:アップル
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 おそらく、Androidユーザーからすると、「どれもサムスンを始めとする他メーカが先に市場に投入しているものばかりだよ」と、口端に薄笑いを浮かべるであろう。だが、そんな嘲笑は関係ない。徹底的に無視する。iPhoneに搭載される。そこに意味があるのだ。