法令の作成や審査から活用までをデジタルデータとプロセスで一気につなぐ取り組みが進む。企業は自社の業務に関係する法令を抜き出すなど独自アプリを開発しやすくなった。「分厚い法令文書」は過去のものになりつつある。

 政府は2017年6月、Webサイト「e-Gov法令検索」をリニューアル公開した。同サイトは情報公開法が施行された2001年4月の開設以来、法令を電子データとして提供。現在は2017年4月時点の憲法、法律、政令、府省令、規則など約8000の現行法令や未施行の条文を検索したり利用したりできる。

法令作成から公開まで一気通貫

 リニューアルでは二つの大きな改変を施した。まずデータの形式を従来のHTMLからXMLに変えた。「データの二次利用を容易にするのが狙いだ」と総務省行政管理局行政システム企画課の小高久義情報システム管理室長は説明する。

 HTMLは「どの文字を太字にする」といった表示に関するルールしか決めておらず、アプリケーションなどで意味を持つデータとして取り込みにくかった。XMLは法令の階層構造を定義できるので、コンピュータで扱いやすくなる。

 e-Gov法令検索のリニューアルに伴い、政府はデータを扱うAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)の提供を始めた。スマートフォンのアプリからAPIを通じて不動産取引に関係する法令を呼び出したり、特定行為を禁じる条文に対応する罰則を抜き出したりできる。

 もう1つの大きな改変点は元となるデータの作成を自動化したことだ。従来はデータの電子化を手作業で進めていた。法令を紙で作成していたからだ。